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経営・財務コラム

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経営・財務コラム

新着情報

H28年11月24日 金融行政の動向について
H28年11月21日 創業者が陥る4つの楽観主義とは・・・
H28年11月17日 代位弁済について
H28年11月14日 経営がうまく行っている会社様には特徴があります
H28年11月10日 経営者が現場から離れるために
H28年11月07日 経営体が患う4大疾病の1つ「お人好し症候群」その4
H28年11月03日 財務部長代行サービスについて
H28年10月31日 経営体が患う4大疾病の1つ「前のめり症候群」その3
H28年10月27日 自己資本比率と事業の関係について
H28年10月24日 経営体が患う4大疾病の1つ「安売り症候群」その2
H28年10月20日 中小企業等経営強化法について
H28年10月17日 経営体が患う4大疾病の1つ「分散症候群」その1
H28年10月13日 利益が出ているのに税金が払えない理由
H28年10月10日 経営判断はとことん理詰めで行ってください
H28年10月06日 資金繰り表による経営管理のすすめ
H28年10月03日 低粗利益率のビジネスは、小資本企業には不向きです
H28年09月29日 より多くの資金を調達するコツ
H28年09月22日 新規事業の数値計画を作成するコツ
H28年09月19日 営業利益率+5%を目指しませんか?
H28年09月16日 融資決定までの流れ
H28年09月12日 ナンバーワンよりオンリーワンを!
H28年09月08日 未来のことを説明しましょう
H28年09月05日 「知る」ことで多くの不安が解消されます
H28年09月01日 財務の具体的な業務について
H28年08月29日 繁盛貧乏に陥らないために・・・
H28年08月25日 融資申込時のセルフチェック
H28年08月22日 結果を予見してコントロールすることが経営管理です
H28年08月18日 創業1年後の追加融資事例
H28年08月15日 社長にはビジネスモデルの構築責任があります
H28年08月11日 試算表を作成する意義
H28年08月08日 経営判断のための指針6カ条!
H28年08月04日 経営者の役割は資金を適切に分配することです
H28年08月01日 資金調達は貸し手の論理が優先します
H28年07月28日 融資を最大限活用するための事業の進め方
H28年07月21日 粉飾決算をしている経営者様へ
H28年07月18日 創業事業計画によくある10の間違え!
H28年07月14日 銀行員がトイレの汚い会社に融資をしないのは本当か
H28年07月07日 貴社の試算表はどのようなポリシーで作成されていますか
H28年07月04日 儲かる会社と儲からない会社の差は
H28年06月30日 銀行が見ている財務状況以外の評価ポイント
H28年06月27日 会社(経営)の健康診断を行ってください(下)
H28年06月23日 資本性ローンを活用した経営改善について
H28年06月20日 会社(経営)の健康診断を行ってください(上)
H28年06月16日 自社にあった金融機関を探しましょう
H28年06月13日 今月・来月までに資金が必要だ。これでは「遅い」のです

H28年06月09日 事業規模を拡大させるための資金を調達するポイント
H28年06月06日 創業時にしっかり考えていただきたいこと

金融行政の動向について H28.11.24

■財務コラム 『金融行政の動向について』  
…企業にとって説明力がますます重要になります。  

 日本の金融機関は、長らく「金融庁マニュアル」に縛られてきました。金融庁マニュアルの本来の目的は、金融機関が保有している不良債権をあぶりだすことでしたが、融資審査に多くの弊害も生み出すこととなりました。「決算書至上主義」、「どこの銀行に行っても答えは同じ」という弊害です。

 各金融機関は、金融庁マニュアルに則り、一斉に「格付」を導入しました。格付とは、融資先を決算内容に基づいてランク付けする仕組みですが、決算数値に基づいて機械的に判定されますので、決算書の数値が悪ければ、例え将来性があると分かっていても、融資を行うのが大変難しくなってしまいました。 また、全ての金融機関が同じマニュアルを基にしていますので、 どこの金融機関に融資を依頼しても結果は同じという傾向も見られました。金融機関の裁量が小さくなり、極端に言えば、決算書を見て機械的に融資の可否を判断している状況です。

 しかし、最近の金融庁の動向を見ていますと、融資の審査基準として、「事業性の評価」を取り入れようとするレポートが多く出されています。決算数値だけではなく、事業も評価しようという動きです。現場レベルに落とし込まれるのはまだ先だと思いますが、企業にとっては、「決算数値が悪くても、事業性を評価して融資をしてくれる金融機関が現れるかもしれない。」 という可能性を秘めています。

 それでは、「事業性の評価」はどのようにして行うつもりでしょうか?各種レポートから読み取ると、「労働生産性」や「従業員数の増減」などから、事業性の良し悪しを見極めようとしているように感じます。しかし、「企業の事業性を評価する。」ことは、それ程簡単ではありません。やはり企業側からの補足が必要になります。

 もちろん今までも自社の事業内容や将来性について理解してもらうことは重要でした。しかし、決算書一辺倒だった今までに比べて、事業性の評価が加味されることになれば、自社の事業内容や将来性を説明することが、ますます重要になります。金融機関は察してはくれません。また、口頭での伝達も十分ではありません。金融機関の評価ポイントを押さえた説明資料の作成等、自社の事業内容や将来性をしっかりと伝える力が求め られます。

○銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、『貴社の財務部長代行』を廉価でお引き受けいたします。
○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会正会員事務所である当事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

創業者が陥る4つの楽観主義とは・・・ H28.11.21

◆経営コラム『創業者が陥る4つの楽観主義とは…』
◆1.『計画通りに進む』との楽観主義!
◆2.『少ない費用で立ち上がる』との楽観主義!
◆3.『資金が必要になればお金は借りられる』との楽観主義!
◆4.『安くしても売れればやって行ける』との楽観主義!

■創業して最初の壁、デスバレー※を越えられない理由は大きく二つです。
1.事業自体が本質的に的外れであるケース。
  実はこのケースは案外少ないように感じます。それなりに考えて、それなりの経験を踏ま
 えた創業であるならば、その成功度合いは別にして、何とかやって行けるはずです。

2.事業の立ち上げに想定以上の時間を費やしてしまい、立ち上がるまで資金が続かないために途中で頓挫するケース。
  多いのはこのケースです。事業の立ち上げに対する想定が甘すぎる、楽観主義が原因で
 す。

※デスバレー(死の谷)とは…起業から一定期間、赤字が続く時期があります。そして、ある段階でその赤字幅が縮小しながら黒字化に向かいます。黒字転換して安定できたら起業はひとまず成功です。起業から黒字転換するまでの期間をデスバレー(死の谷)と呼びます。

■4つの楽観主義…
◆1.『計画通りに進む』との楽観主義!
◆2.『少ない費用で立ち上がる』との楽観主義!
◆3.『資金が必要になればお金は借りられる』との楽観主義!
◆4.『安くしても売れればやって行ける』との楽観主義!

◆1.『計画通りに進む』との楽観主義!
・10期目の会社が立てた11期目の計画、概ね計画通りに進捗するでしょう。
・3期目の会社が立てた4期目の計画、計画の見積もりには不安が残ります。
・創業時に立案した1期目の計画、過度に保守的に見積もらない限り当たりません。 計画通りに事業は進まないのです。これが実態です。それでも 計画は目安として必要です。目安を立てて、ずれを確認しながら事業を運営するために必要です。

◆2.『少ない費用で立ち上がる』との楽観主義!
 計画通りに進捗しなかったとき、それを解決するのは時間です。 当初立てた仮説を修正しながら試行錯誤を繰り返します。事業自体が的外れでなければ、時間を要しながらも着地します。 計画に対して余分に費やした時間を埋められるのは資金・お金しかありません。資金不足で頓挫する、これは時間を稼ぐ資金を確保できないとの意味です。

◆3.『資金が必要になればお金は借りられる』との楽観主義!
 計画通りに進まずに、時間が必要、時間を確保するための資金が必要になった折に、金融機関に駆け込んで、資金を求めようとします。これは原則間違えです。難解です。計画が遅れた、時間を掛ければ軌道に乗る、この蓋然性の説明は容易ではありません。金融機関は原則、足元の進捗・実績を基準に、将来生み出すキャッシュフローを勘案して融資の可否を判断します。(金融機関が有するのは「日傘」であって「雨傘」ではありません。)

◎どうすればよいか…計画をしっかり立案します。一方で、その計画を鵜呑みにせずに計画が遅れることを想定して資金を最 大限調達し続けること、これが正解です。

◆4.『安くしても売れればやって行ける』との楽観主義!
 「とにかく売れさえすれば何とかなる」、このように考える社長様も少なくありません。 「売れなければ何ともならない・始まらない」は正解ですが、「とにかく売れさえすれば何とかなる」は正しくありません。一定額以上売れた時には一定以上の利益を捻出できる値決め・ 価格設定は経営上極めて重要です。手間暇をしっかり掛けて、よくよく考えて、シミュレーションをしっかり行って、腫物に触るように慎重に決めてください。とにかく値決めに対しては 全身全霊を注いでください。

◎どうすればよいか…安売りは絶対にしない、価格を売るため の道具に使わない、安売りでしか勝負できない事業なら、事業自体を再考してください。

■4つの楽観主義を改めてください。
◆1.『計画通りに進む』との楽観主義!
 ◎回答…計画通りには進捗しません。ほぼ遅れます。

◆2.『少ない費用で立ち上がる』との楽観主義!
 ◎回答…計画の遅れは資金で埋めるしか方法がありません。

◆3.『資金が必要になればお金は借りられる』との楽観主義!
 ◎回答…資金は必要なときに借りるのではなく、借りられるときに借りてください。

◆4.『安くしても売れればやって行ける』との楽観主義!
 ◎回答…売上至上主義ではなく、利益至上主義で経営してください。

代位弁済について H28.11.17

■財務コラム 『代位弁済について』  
 …信用保証協会の代位弁済について解説します。  

 知識を役立てる機会はないかもしれませんが、もし、現在利用している信用保証協会の保証付き融資が返済できなくなった場合、その後の手続きがどのように進められるかをご説明します。

 先日あったご相談内容です。「信用保証協会の保証付き融資を銀行から受けているが、業績が良くないためリスケをしており、 さらに、金利すら延滞している。銀行の担当者から保証協会に事故報告を上げると言われたが、何か良い調達方法はないか?」

 正直この段階でご相談に来ていただいても手の施しようがありません。新たな調達は難しい旨を丁寧にご説明しました。すると、社長様は吹っ切れた様子になり、今度は、「このまま支払えなかった場合はどうなるのか?」ということについて、熱心にご質問を始められました。

Q1.このまま支払えない場合はどうなるのか?
A1.延滞が続くと最終的には代位弁済となります。

Q2.代位弁済とは何か?
A2.貴社の借入については、信用保証協会が保証をしていますので、貴社が返済できなくなった時点で、信用保証協会が貴社の代わりに銀行に残債を支払います。これを代位弁済といい ます。

Q3.代位弁済の手続きは自分でするのか?
A3.代位弁済は、銀行から信用保証協会に請求するものですので、貴社が手続きをすることはありません。

Q4.代位弁済の後はどうなるのか?
A4.銀行の借入がそのまま信用保証協会に移る形になりますので、代位弁済後は銀行ではなく、信用保証協会に対して返済を行っていきます。

Q5.返済金額はいくらか?
A5.担保を差し入れている場合は、担保を処分して借入金の返済に充てる方向で手続きが進められます。担保を処分しても なお残った残債や、そもそも無担保で借り入れている場合は、 利益の状況にあわせて返済額が決まります。

Q6.代位弁済というのは倒産のことか?
A6.倒産ではありません。代位弁済となっても、その後信用保証協会に少しずつ返済をしながら、事業を継続している企業様は多くいらっしゃいます。

 最後は、「事業は継続できるのですね。」と少し安心されたご様子でした。 業績が悪化し、支払いに追われている状態では、平静を保つの も難しくなります。しかし、今後起きることが分かっていれば、多少なりとも不安をやわらげることができます。事業の失敗は誰にでも起こりうることです。感情ではなく知識に頼ってくだ さい。

○銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、『貴社の財務部長代行』を廉価でお引き受けいたします。
○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会正会員事務所である当事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

経営がうまく行っている会社様には特徴があります H28.11.14

◆経営コラム 『経営がうまく行っている会社様には特徴があります。』
…競合しない!利益を確保する!安売りをしない!売上至上主義に陥らない!

■経営がうまく行っている会社様には特徴があります。
1.『競合しない』ビジネスを構築できています。
2.『利益を確保できる』利益率が設定されています。
3.『安売りをしない』との決意が固いです。
4.『売上至上主義』ではありません。

 また、これらの基本ルールを死守するための勉強に熱心に取り 組んでおられます。勉強熱心です。

◆競合しない!
 競合を出来るだけ回避する、ビジネスを設計する時に最初に考慮すべき事柄です。同じような商品・サービスを同じように売っていても、上手く行かないのは当然です。違う商品・サービスを、違う売り方で、店舗ビジネスでは違う場所で売る、この原理原則をしっかり確認しましょう。競合の真ん中で戦う、どんなに頑張り続けても上手く行かない (売れない)のはこのためかもしれません。

◆利益を確保する!
 利益を確保する、ビジネスを設計する時に極めて重要な視点です。同じ投資をして、同じ経費で、同じ売り上げを上げても、その粗利益率が30%か40%か50%か、この違いは利益に格段の差をもたらします。その後の経営が大きく変わります。儲からない利益率を設定したがために、どんなに頑張り続けても上手く行かない(利益がでない)のはこのためかもしれませ ん。

◆安売りをしない!
 安売りをしない、販売戦略から安売りの発想を捨ててください。売上をいくら伸ばしても、その価格を割り引いてしまっては何の意味もありません。10%の値引きは、最初から利益を10 %放棄することと同義です。忙しいのに儲からない状況「繁盛貧乏」に陥るのは、安売りをするから、または、そもそも値決めが安すぎる(※当初から安 売り状態)からかもしれません。

◆売上至上主義に陥らない!
 売上ではなく、利益を優先して求めて(管理)ください。「いくら売れそうか?」「いくら売れた?」ではなく、「いくら利益が出そうか?」「いくら利益が出た?」で管理してください。 社長は「売上」ではなく「利益」を求めてください。赤字に陥るのは、そもそも「利益」を最初から求めて(管理)いないか らかもしれません。

○上手く行かない経営を行っている会社は、案外単純です。
 上記の様な基本を外しているからです。軌道を修正してください。

○そもそも上記の基本を外したプラン?で創業を企てる創業者様も少なくありません。見直してください。

■『経営の方針』、その要諦は『繁盛貧乏に陥らない』ことです。再度ご確認ください。
◆力相応オンリーワンを目指す。  
 →どこにでもあるネタをビジネスにしない。一工夫、二工夫…

◆低粗利益率のビジネスは行わない。  
 →粗利益率30%未満はおすすめしない。小資本企業には難解です。

◆価格を売るための道具に使わない。  
 →安売りはしない。

◆売上至上主義に陥らない。  
 →売上よりも利益を優先する。

 この機会にご自身のビジネスモデルを点検してください。 特に、有店舗型のビジネスは、その立地(競合状況)によって業績が大きく変わります。また、立地の置き換えは容易ではあ りません。立地の選定には多くのエネルギーを費やしてください。 

経営者が現場から離れるために H28.11.10

■財務コラム 『経営者が現場から離れるために』  
 …資金を調達し時間的な猶予を得ることです。

 「経営者の仕事とは・・・」多くの場面で語られる大変重要なテーマです。その中で、概ね支持されている意見は、「現場仕事で忙しくするのは経営者の仕事ではない。」というものではないでしょうか。私も全く異論はありません。ただ、経営資源が不足する中小企業にとって、考え方は正しくても実践するのは容易ではありません。

 新しい事業の構築は簡単ではありませんので、殆どの経営者様は、他人任せにせず自ら現場に入って事業をスタートさせるはずです。その後、現場で陣頭指揮を取りながら事業の構築に取り組みますが、多くの中小企業経営者様は、この状態から脱却できずに苦しんでいるように感じます。

 この状態の時に経営者が現場から離れると、たちまち業績が悪化します。思い切って従業員に任せない限り、いつまでたって も従業員は育ちませんが、その間の業績悪化を容認できるほど、資金的な余裕はありません。中小企業の経営者様が現場から離れられないのは、「資金的な余裕がないこと。」もひとつの要因ではないでしょうか。

 先日、飲食店を2店舗経営している顧問先様の資金調達を行いました。社長様は、調達した資金で3店舗目を出店したいと考えていましたが、私は、財務部長として、「現場を離れるために既存店舗に力を入れてはどうか。」と提案しました。無理に拡大をするよりも、じっくりと事業を作り込んだ方が良いと考 えたためです。

 同社の社長様は、1号店の店長として今でも現場で頑張っています。将来的には経営に専念して、多店舗化を目指したいと考えていますが、従業員に任せている2店舗目の業績があまり良くないため、2号店の業績をカバーするために、やむを得ず1号店で頑張っている状態です。このような状態で3店舗目を出してしまうと、ますます現場から離れなくなります。

 最終的には、3号店の店長として考えていた人材を1号店の店長に据え、社長は両店舗の店長教育に専念することになりました。1号店の業績が悪化する可能性もありますが、資金的には 当面耐えられる状況です。 経営者が現場から離れるためには、従業員の成長を含めた事業 の作りこみが必須です。事業を作りこむためには時間が必要です。その解決方法の一つとして、資金を多く持つことが、時間的猶予を得ることになるのではないでしょうか。

○銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、『貴社の財務部長代行』を廉価でお引き受けいたします。
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経営体が患う4大疾病の一つ「お人好し症候群」という疾病の正体は・・・(その4) H28.11.7

◆経営コラム『経営体が患う4大疾病の四つ目『お人好し症候群』という疾病の正体は…』
…判断が緩く、マネージメントが甘くなる病です。
…前回号からのつづきです。

■創業者~中小企業までの経営者は、社長でありかつ現場のリーダーです。大企業の社長とは違います。その指示・命令は、概念的な「フワッとした」曖昧な内容ではなく、明瞭でなけれ ばなりません。指示の曖昧な社長は少なくありません。また、頼まれ事に「NO」と言えない(断ることができない。)社長も少なくありません。さらに、従業員に嫌われたくないとの思 いからか、その距離を詰め過ぎる社長、嫌ごとや厳しい事を言 えない社長も少なくありません。この様なトップの率いる経営体は、組織自体がすべてにおいて緩く・甘くなっています。

■この様な、緩い・甘い経営体を『お人好し症候群』と呼びます。『お人好し症候群』の経営体は、以下のような状況です。
1.自分の判断は、どちらかというと甘いと思う。〔  〕
2.自分の判断は、どちらかというと曖昧だと思う。〔  〕
3.自分はNOと言いにくい性格だ。〔  〕
4.自分は自分に甘いようだ。〔  〕
5.自分は従業員に甘いようだ。〔  〕
6.従業員は他の従業員に甘いようだ。〔  〕
7.自分はお人好しだと思う。〔  〕

 いかがでしょうか?

■病名:『お人好し症候群』を整理します。
○判断が総じて甘く・緩くなる病です。

○原因
 胆力の欠落と人の好さが原因です。胆力は長期間、長時間は継続できません。また、人の好さが災いして、嫌なことを先送り しがちです。胆力の維持できる範囲内で判断する、嫌なこと、 厳しいことを臆さずはっきり口に出す、これを意識しないと、甘い・緩い経営になってしまいます。

○症状
 すべてが緩慢になっています。仲良し倶楽部になっています。 早期の治療が必要です。
 ※企業経営はぴりぴりと張り詰める緊張感の中で行うものです。一つ一つの判断が生死を分
 け、どちらかというと楽しいことより嫌なこと、厳しいことが多いはずです。

■『お人好し症候群』への対応は… 人の好さは、会社に『甘さ』『緩さ』を蔓延させ、会社を破滅に導きます。心に一匹の鬼を持って経営判断を行ってください。 厳しいことを臆さずはっきり口に出す、NOならNOとはっきり言える経営者であってください。また、数値管理を最小単位まで落とし込んでください。数値を判断基準にすると、曖昧さは減少します。

○対策
・経営判断を明確に(Clearly)にしてください。
・経営判断に『甘さ』『ゆるさ』を持ち込まないでください。
・NOといえる経営者になってください。
・数値(目標、結果)管理を最小単位で徹底してください。

■経営体は大きく4つの疾病を患っていると思っています。
◆病名1:分散症候群  …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:前のめり症候群…有病率30%
◆病名4:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。    
【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を維持すること。
◆第4条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。

 経営体が患う4大疾病について、自問自答してください。そして、対応してください。

※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』 ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。 我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。 遠慮なくご相談ください。

財務部長代行サービスについて H28.11.3

■財務コラム 『財務部長代行サービスについて』
…成長企業にこそ利用していただきたいサービスです。  
 銀行融資プランナー協会が提唱している「財務部長の代行サービス」は、経営状況が悪化した企業様を対象にしたものと誤解されることがあります。資金調達、財務支援といったキーワードが企業再生を連想させるのでしょうか。確かに、世の中にある他の財務支援サービスは、企業再生をメインにしたものが多いようです。しかし、財務に力を入れることで、最も大きなメリットを得られるのは、創業期、成長期にある企業様です。

■創業期
 創業期に、自社が調達できる資金の量を知り、その資金をどこにどの程度投資すべきかを考える時に、財務が非常に役立ちます。7割の創業者が創業期を乗り越えられずに断念すると言われていますが、中には、営業力があるにも関わらず、自社の資金調達力を見誤り、実力以上の事業規模で創業してしまったことが要因であることも少なくありません。創業期に売上を作ることができなければ、財務を強化しても効果はありませんが、一定以上の売上を作る力をお持ちであれば、財務次第で創業期を乗り越えることができます。

■成長期
 創業期を乗り越えて、右肩あがりで業績が伸びている成長期は、一見資金を調達する必要はないように感じますが、この時期に投下した資金量で、事業の成長スピードは大きく違ってきます。 資金を投下した分だけ、感度よく業績に跳ね返ってきますので、 財務を強化して最大限の資金を調達し、事業に投下していくことで、成り行きよりも大きな成長カーブを描くことができます。

■安定期
 成長が止まり安定期に入ると、皮肉にも資金調達はしやすくなりますが、いくら資金を事業に投下しても、成長期ほど業績に跳ね返ってこなくなります。よって、資金調達を行って事業の拡大を目論むより、やがて訪れる衰退期に備えて、外部に資金を流出させない施策に取り組むことが優先です。但し、安定期に最大限の調達を行って、新たな事業の創造を開始するのであれば、やはり財務は重要です。

■衰退期
 事業力の低下が根本の原因ですので、財務で問題を解決するこ とは困難です。もちろん、経営が悪化した上場企業の再生劇に見られるような、莫大な債権放棄や税金の投入があれば別ですが、事業力の低下により資金調達がしにくい環境になっている 中で、わずかばかりの資金を調達しても、延命を図るのが精一杯です。

 財務の担当者を置くメリットは、会社の実力に対して最大の資金調達ができる点です。資金調達の効果が最もあるのは成長期になりますので、成長期の企業様にこそ、「財務部長代行サー ビス」を利用していただきたいと考えています。

○銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、『貴社の財務部長代行』を廉価でお引き受けいたします。
○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会正会員事務所である当事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

経営体が患う4大疾病の一つ「前のめり症候群」という疾病の正体は・・・(その3)H28.10.31

◆経営コラム 『経営体が患う4大疾病の三つ目『前のめり症候群』という疾病の正体は…』
 …会社の実力以上に事業を攻めすぎる、組織を大きくし過ぎる病です。  
 …前回号からのつづきです。

■創業者~中小企業まで、その大半は小資本、過小資本で経営しています。少しのミスが致命傷になります。この実態を謙虚に受け止めて、(資本を積み上げるまでは)出来るだけリスク を取らない経営を行うしか他に方法はありません。過少資本である現実を無視して、大きく攻め込んでしまう経営者は危険です。少しばかりうまく行ったからうまく行きそうだと考えて、安易に人を増やす、事業所を拡大する、事業領域を広げる等々、この判断とタイミングを間違えると命取りになります。

 このステージでは、行き過ぎるデメリットは、遅れるデメリットよりもはるかに大きくなります。小資本、過小資本の会社は、少し遅れながら攻めてください。※攻めるためには余力が必要です。自己資本の充実や財務戦略が重要です。

■この様に、実力以上に攻め込む経営体を『前のめり症候群』と呼びます。『前のめり症候群』の経営体には、以下のような症状が現れます。
1.ぎりぎりの経営をしていると感じる。〔  〕
2.毎日が緊張の連続で疲れる。〔  〕
3.少し売上が落ちるとすぐに経営が厳しくなる。〔  〕
4.資金繰りに追われている。〔  〕
5.攻めすぎているかも、と感じることがある。〔  〕
6.攻めすぎたと反省している。〔  〕

 いかがでしょうか?

■病名:『前のめり症候群』を整理します。
○会社の実力以上に事業を攻めすぎる、組織を大きくし過ぎる病です。

○原因
 攻めるタイミングが、攻める規模が、自社の資本力・体力に比べて早すぎる、大きすぎることが原因です。また、財務無策や緩慢な経営管理が気付きを遅らせています。

○症状
 持ち合わせた経営資源のすべてを出し切って、ぎりぎりの経営を行っています。ひとつ判断が狂うと、一挙に経営の根幹が揺らぎかねない状況に陥ります。企業経営においては、どうしてもこのステージを避けられないこともありますが、可能な限り回避すべきです。それを恒常的につづけていると、会社も社長も疲れ果ててしまいます。極めて危険な状況です。早期の治療が必要です。

■『前のめり症候群』への対応は、事業の速度を落とすこと、後退させることで、前のめりの角度を緩やかにすることです。 一方、財務戦略を確立することで補うことができます。また、自己資本の充実や財務戦略をしっかり確立するまでは、出来るだけリスクを取らない経営を行うしか他に方法がありま せん。

○対策
 変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を維持してく ださい。
・事業を攻め過ぎないでください。
・ビジネスモデルを早期に固め過ぎないでください。
・経営の推移を小まめに把握してください。

■経営体は大きく4つの疾病を患っていると思っています。
◆病名1:分散症候群  …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:前のめり症候群…有病率30%
◆病名4:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。    
【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を維持すること。
◆第4条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。
…次回号につづきます。

※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。 我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。 遠慮なくご相談ください。

自己資本比率と事業の関係について H28.10.27

■財務コラム『自己資本比率と事業の関係について』  
 …自己資本比率至上主義への対処方法を考えます。  
 金融機関、特にメガバンクは決算書から導き出される様々な財務指標を重視しています。その中で、最も重要視している指標 は、自己資本比率です。自己資本比率とは、総資本に対する自己資本の割合で、比率が高い方が良いとされています。自己資本は、資本金と累積利益の合計ですので、増資をして資本金を増やしたり、利益を積み上げたりすることで増加します。

 しかし、自己資本比率は、総資本に対する自己資本の割合ですので、自己資本が増えても、それ以上に負債が増加すれば、相対的に自己資本比率は低くなってしまいます。金融機関やコンサルタントの目線から見れば、自己資本比率が高い会社の方が良い会社ですので、「自己資本比率を上げましょう。」という指導になります。

 しかし、実際に経営を実践している経営者様は、自己資本比率を気にしていては、会社を成 長させることができないことを本能的に知っているはずです。自己資本比率は「結果」であって経営の「目標」にするものではありません。自己資本比率を上げることを目標として経営するならば、非常に消極的な経営を強いられます。「他人の資金を活用して新しい事業を創造する。」といった事業家として当たり前の行為が、 自己資本比率を下げる要因になるためです。

 自己資本比率を高く維持したければ、自己資本の範囲内で小さな商売に徹するか、そもそも会社を作って何もしなければ、自己資本比率は100 %のまま維持できます。政府は盛んに投資の拡大を推進しています。自己資本の小さな中小企業が投資を行うためには、借入が必須のはずですが、一方で、金融庁や中小企業庁から出てくる施策には、残念ながら、自己資本比率を重視したものが多く見られます。自己資本の小さな中小企業を自己資本比率で縛ってしまっては、投資の拡大など期待できないと個人的には考えますが、評論家ではありませんので、このような環境の中で、どのような経営を実践すべきかを考えたいと思います。

 事業と自己資本比率の関係は、借入と投資を実行して一旦自己資本比率を悪化させることから始まり、やがて投資が実ること によって自己資本が充実する。というサイクルで成り立っています。経営者として最も注意すべきポイントは、投資をして自己資本比率が下がっている段階においては、資金調達が非常に難しいという現実です。自社の事業規模と調達力を見極め、資金が途切れないようにしなくてはなりません。

 しばしば見かける間違った企業様の例です。 自己資金が1,000万円、調達力が2,000万円であるにも関わらず、黒字化までに5,000万円必要なビジネスに取り組んでいます。自己資本比率が悪化している真っ只中に資金が切れますので、追加の資金調達ができずに苦労してしまいます。「最初に3,000万円で黒字化できるビジネスをデザインすべきだった。」というのが正解ですが、自社のビジネスがどの程度の資金を要するのか、また、自社の調達力がどの程度なのかが分からなくては、そもそも正解を導き出すことはできません。自社のビジネスに要する資金の見積もり、自社の資金調達力の 把握は、一定の経験と知識が必要になります。是非、貴社のビジネスモデルをお聞かせください。

○銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、『貴社の財務部長代行』を廉価でお引き受けいたします。
○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会  正会員事務所である当事務所にて承っております。  お気軽にご相談ください。

経営体が患う4大疾病の一つ「安売り症候群」という疾病の正体は・・・(その2) H28.10.24

◆経営コラム『経営体が患う4大疾病の二つ目『安売り症候群』という疾病の正体は…』
 …価格を売るための道具に使うと「繁盛貧乏」になります。
 …前回号からのつづきです。

■「値決め」は経営の要諦です。であるにも関わらず、値決めに掛ける手間暇が少なすぎると思っています。総じて安く付けすぎているとも思っています。間違えた「値決め」が経営に与 えるダメージを過小評価してはいけません。

 経営者は閑散な状態を嫌います。故に、安すぎる「値決め」をして、貧乏しても繁盛したいと考える傾向があります。「繁盛貧乏」がはびこるのはこのためでしょう。経営者は楽な道を選びます。苦労して付加価値を積み上げるよりも、価格を低く抑えて価値とバランスしようと考えてしまいます。価格を売るための道具に使ってしまいます。

 安売り戦略の大罪は、良いものを創り出そうとする知恵を奪い取ることです。この愚策を長年続けている集団から、新たな商品やサービスを創り出す創造力は生まれません。商品やサービスの価値と価格のバランスは、その価格を下げて市場に合わせるのではなく、その価値を向上させることで調整してください。 多くの偉人たちが語る経営の王道です。

■この様に、「値決め」が弱気で利益を出せない経営体、さらに、新しい価値を生み出す創造力を無くしてしまった経営体を 『安売り症候群』と呼びます。 『安売り症候群』の経営体には、以下のような症状が現れます。
1.頑張っているのに儲からない。〔  〕
2.新しい商品、サービスを創造できていない。〔  〕
3.利益は出なくて良い、と思うことがある。〔  〕
4.値上げをしたいと思っていてもできない。〔  〕
5.ぎりぎりの経営をしていると感じる。〔  〕

 いかがでしょうか?

■病名:『安売り症候群』を整理します。
○値決めに対する姿勢が弱気で、利益管理も曖昧になる病です。

○原因
 安くないと売れないとの思い込みが原因です。良いものには相応の値段を(それなりのものはそれなりの値段を)付けてください。良いものを安く売る必要はありません。原価が上がれば価格を見直す、この当たり前の企業行動を取らなければ、利益がどんどん減ります。利益が薄くなればなるほど、良いものを作ろうとする知恵や創造力を失います。最後は、薄利は善、利益は悪の心境に陥ります。こうなると末期です。

○症状
 二つのレベルに分かれます。繁盛貧乏のレベルが第一段階です。このレベルは頑張っているのに値決めを間違えていて儲からない状況です。この段階では価格の見直しを行えば容易に治癒できます。第一のレベルを続けていると、頑張っても儲からないと思い込み、頑張る意欲、より良いものを創造しようとする力を失くしてしまいます。最後には、儲からない自分を正当化するために、儲けは悪、儲からないことが善、ビジネスそのものを否定するようになります。

■『安売り症候群』への対応は…「繁盛貧乏」から抜け出すこ とです。
 『高収益化(Profitable化)』と定義します。
○対策は…高収益(Profitable)を目指す、ここから始めてく ださい。
・値決めを再考ください。値上げを検討してください。
・付加価値の向上を目指してください。
・利益管理を徹底してください。
・コストを抑えてください。

■経営体は大きく4つの疾病を患っていると思っています。
◆病名1:分散症候群  …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:前のめり症候群…有病率30%
◆病名4:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。    
【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を維持すること。
◆第4条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。 …次回号につづきます。

中小企業等経営強化法について H28.10.20

■財務コラム 『中小企業等経営強化法について』  
 …メリットや手続きについて企業側の視点で解説します。
 前回のお役立ち情報でご案内させていただいた「中小企業等経営強化法」について、「結局どうすれば良いの?」というお声がありましたので、メリットや手続き方法について、企業側の視点で解説致します。

■経営力強化法の概要について
 経営力強化法の概要を簡単に説明すると、
 1.中小企業が「経営力向上計画」を策定し、
 2.主務大臣あてに「申請」を行って「認定」されると、
 3.様々な「支援措置」を受けられる制度。 となります。

■様々な支援措置(企業のメリット)とは 最も魅力のある支援措置は、「生産性を高めるための機械装置 を取得した場合、3年間、固定資産税が半分になる。」というものではないでしょうか。他にも、「商工中金による低利融資を受けられる。」「信用保証協会の保証枠が拡大される。」等の措置が用意されていますが、必ず借りられるという訳ではない点に注意が必要です。

■申請の仕方は 下記中小企業庁のホームページから申請書(A4用紙2枚)をダウンロードして作成し、各地方の経済産業局に提出するだけ です。  http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/

 計画書は、政府が推奨する「財務分析手法」や「事業分野別の 指針」を用いて策定しなくてはなりませんが、「事業分野別の指針」とは、各事業分野における業界の課題や改善策をまとめたものです。現在指針が出ている事業分野は、製造業、卸・小 売業、外食・中食、旅館業、医療、保育、介護、障害福祉、貨物自動車運送業、船舶、自動車整備になります。

 申請をする予定はなくても、ご自身が属する業界の指針に目を通してみては いかがでしょうか。こちらも先ほどのHPから確認することができます。

 中小企業等経営強化法の認定は、ものづくり補助金の加点要素にもなるなど、今後、政府が行う中小企業向けの支援措置を受ける際には、必須のものになるかもしれません。(もちろん企画倒れに終わる可能性もあります。)

 設備投資を要しない事業形態の企業様にとっては、ややインパクトに欠ける内容ではありますが、認定を受けるデメリットはなさそうですので、「経営を強化する。」という本質的な目的のために認定を受けてみてはいかがでしょうか。 計画書、申請書の作成が困難な場合は、税理士など経営革新等認定支援機関のサポートを受けながら作成することが可能です。お問い合わせください。

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○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会正会員事務所である当事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

経営体が患う4大疾病の一つ「分散型症候群」という疾病の正体は・・・(その1) H28.10.17

◆経営コラム 『経営体が患う4大疾病の一つ『分散症候群』という疾病の正体は…』
 …長時間労働や生産性・収益性の低さの主たる原因です。

■経営体(そもそも世の中)の諸々はすべて、時間の経過とともに複雑な方向に、増える方向に動きます。世の中のベクトルは複雑化・増加であって、単純化・減少ではありません。従っ て、自然に物が増え、書類が増え、手続きが複雑になり…高コストになります。品揃えが増え、在庫が増え…総花的になります。弱くなります。人は仕事が増え(自らが増やし)…多忙になります。故に、強烈に意識しない限り、時間が経過するごと に会社はややこしくなります。弱くなります。長時間労働や生産性・収益性の低さの主たる原因の一つはこれが原因だと思っています。

■この様に、複雑化・増加のベクトルに巻き込まれ、対応できていないがゆえに生産性・収益性の低さを招いている状況の経営体を『分散症候群』と呼びます。『分散症候群』の経営体には、以下のような症状が現れます。
1.社内の動きが遅く(悪く)なる。〔  〕
2.オペレーションのミスが多くなる。〔  〕
3.経営コストが割高になる。〔  〕
4.商品、サービスが総花的で特徴がない。〔  〕
5.頑張っているのに儲からない。〔  〕
6.新しい商品、サービスを創造できない。〔  〕

いかがでしょうか?

■『分散症候群』という疾病を整理します。
○商品やサービスの幅を広げ過ぎて、マーケティングが曖昧になる病です。誰に・何を売るかがぼやけてしまっています。

○原因
 商品の品揃えやサービスの幅を持たないと売れないとの思い込みが原因です。企業は何もないところから始まります。このステージでは品揃えの強化や幅が必要です。しかし、一定のレベルを越えたあたりから、商品の品揃え、サービスの幅、事業領域を絞りながら成長を遂げるべきです。拡大は面を広げることではなく、面を狭めて深堀することです。このあたりが誤解されています。だからこの病気が蔓延するのでしょう。

○症状
 経営資源が分散され、社内のありとあらゆるものが複雑になるため、動きが悪くなります。対応が遅くなり、ミスが多発し、全体にコスト高になります。各商品やサービスの磨きこみも十分でなく、総花的な品揃え、サービスを提供しており、これといった強みもありません。

■『分散症候群』への対応は
  …止めて・減らして・集中して・ 尖ることです。これを『単純化(Simple化)』と定義し
  ます。

○対策は… すべてを単純化(Simple化)することです。
1.減らすことです。絞り込むことです。
2.自社の強み(ツキ)を探して特化することです。

■経営体は大きく4つの疾病を患っていると思っています。 その有病率は決して低くありません。
◆病名1:分散症候群  …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:前のめり症候群…有病率30%
◆病名4:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。    
【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を維持すること。
◆第4条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。 …次回号につづきます。

 ※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』 ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。 我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。 遠慮なくご相談ください。

利益が出ているのに税金が払えない理由 H28.10.13

◆財務コラム 『利益が出ているのに税金が払えない理由』  
 …税金に悩まなくて済む方法は財務を強化することです。

 「税金を払いたくないので利益を減らした。」という話を良く耳にします。しかし実際は、「税金を払いたくても払えないので、やむを得ず利益を減らした。」というケースも多いようです。せっかく利益が出ているにも関わらず、お金が理由で利益を圧縮せざるを得ないのは大変もったいないことです。

 法人税等の実効税率は利益の約30~40%です。仮に利益が 100万円だったとすると、税額は30万円~40万円になります。税額よりも利益の方が大きいので、税金が払えないはずはありません。しかし、いざ税金を払おうとすると、「手元に現金がない!」ということが良くあります。なぜでしょうか。

 利益が出ているのに税金が払えない理由は、利益が現金化されるより前に、税金の支払い期限が到来するためです。税金は利益額を基準に計算しますので、たとえ利益が売掛金の状態であっても、税金を支払わなくてはなりません。この時間的なズレに対処するためには、財務を強化するのが最良です。税金が払えないからと言って利益を圧縮すると、確かに税金は少なくなりますが、様々な問題が発生します。

 まず、無理な利益圧縮が脱税と認定されるリスクがあります。もう一つは、決算数値にひずみが生じるため、金融機関から相手にされなくなるリスクがあります。よって、正しい対処方法は、事前にファイナンスを行って、税金を払えるだけの資金をプールしておく ことです。

 事前に資金を調達するためには、毎月の利益状況を把握して、 あらかじめ税金の額を予測しておく必要があります。また、毎月のキャッシュの状況も把握して、どれぐらい資金が不足するかも予測しておく必要があります。試算表と資金繰表を毎月作成する。やはり基本的な財務活動が安定した資金運営の第一歩です。決算の時に慌てて利益を圧縮することがないよう、資金管理を徹底してください。

○銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、『貴社の財務部長代行』を廉価でお引き受けいたします。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会  正会員事務所である当事務所にて承っております。  お気軽にご相談ください。

経営判断はとことん理詰めで行ってください H28.10.10

◆経営コラム 『経営判断は、とことん理詰めで行ってください。』
 …絶対にやってはいけないことは、曖昧な形で伝わってくる、無責任な世間の間違え常識を
 鵜呑みにすることです。

■社長は日々多くの判断をくだしています。過去の経営判断の集積が現状であり、これからの判断の結果が未来の経営成績に反映されます。判断の精度が原因、経営成績 が結果、タイムラグを経て明確な因果関係が生まれます。

■社長は、何を基準に経営判断を行っているのでしょうか?理詰めで考えて判断する以外に方法はありません。常に自身の頭の中で考えを突き詰めて、論理に沿って判断すべきです。それ以外に方法が見当たりません。絶対にやってはいけないことは、曖昧な形で伝わってくる、無 責任な世間の間違え常識を鵜呑みにすることです。

■曖昧な形で伝わってくる、無責任な世間の間違え常識とは…

◎間違え常識1:経営の生産性向上のためには、改善することだ。  
 ⇒違います。止めることです。

◎間違え常識2:従業員が忙しい。  
 ⇒違います。マネージメントが雑なだけです。

◎間違え常識3:社長が忙しい。  
 ⇒違います。余計なことをし、コントロールできないことを考えているからです。

◎間違え常識4:社長は、急ぎで重要なことに専念すべきだ。  
 ⇒違います。社長の仕事は、急ぎでない重要なことへの対処です。

◎間違え常識5:人間は色々なことに同時に対処できる。  
 ⇒違います。人間はマルチタスキングが出来ないようにできています。

◎間違え常識6:お金は、お金が必要な時に借りる。  
 ⇒違います。お金は、借りられる時に借りられるだけ借りることです。

◎間違え常識7:借入れは少ない方が良い。  
 ⇒違います。そうでないことも多いです。

◎間違え常識8.取引する銀行は大きな銀行が良い。  
 ⇒違います。取引する銀行は分相応が良いはずです。

◎間違え常識9:創業時、自己資金が底をついて資金が逼迫するタイミングで資金調達する。  ⇒違います。デスバレーに突入する前の創業初期か、デスバレーを抜け切った黒字転換後し
 か調達できません。

◎間違え常識10:現状の厳しさを強調して、金融機関に融資を依頼する。  
 ⇒違います。返済できる根拠を書面で示して依頼するべきです。

◎間違え常識11:マーケットインこそすべてだ。  
 ⇒違います。プロダクトアウトこそ重要です。

◎間違え常識12:収益性の良し悪しは、マネージメントやマーケティングで決まる。  
 ⇒違います。その前に事業立地・ビジネスモデルの良し悪しが重要です。

◎間違え常識13:売れないので価格を下げる。  
 ⇒違います。価格を売る道具に使ってはいけません。

◎間違え常識14:売上こそ経営の肝だ。  
 ⇒違います。利益の方が重要です。

◎間違え常識15:協業先を早く作りたい。  
 ⇒違います。その前に自立することです。

◎間違え常識16:十分な費用を費やして最高の管理を行うことが重要だ。  
 ⇒違います。最適な管理を最小のコストで行うべきです。

◎間違え常識17:従業員に好かれたい。  
 ⇒違います。好かれる社長のいる会社は総じてうまく行っていません。

◎間違え常識18:衆知の経営を行いたい。
 ⇒違います。小さな会社は独断こそ正です。

◎間違え常識19:能力の限界まで出世させてあげたい。  
 ⇒違います。能力の限界の手前に留めるべきです。

 経営判断は、とことん理詰めで行ってください。絶対にやってはいけないことは、曖昧な形で伝わってくる、無責任な世間の 間違え常識を鵜呑みにすることです。上記の間違え常識に対するコメントも、本当は間違いかも知れません
 …とことん理詰めで考えてください。

 ※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をでき
 るだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)
 を持つことを宣言いたします。 我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮な
 くご相談ください。

資金繰り表による経営管理のすすめ H28.10.6

◆財務コラム 『資金繰り表による経営管理のすすめ』  
 …正確な試算表を作成するのが難しい企業様への提案です。

 毎月の経営状況を正確に把握できる資料は「試算表」です。多くの経営者様が試算表を見て、「売上が上がっている。」とか、「利益が減っている。」などの状況を確認し、日々の経営判断に役立てておられます。

 しかし、もし試算表そのものが間違っていれば、そこから下される判断も間違ってしまう可能性が高くなります。自社の状況を鑑みて、正確な試算表を作成するのが難しいと考えるならば、思い切って、もっと簡素な管理方法に切り替えるのもひとつの解決方法です。試算表ではなく資金繰り表です。

 財務体質の強化に取り組んでおられる企業様の事例です。数か月前から関与をスタートし、オブザーバーとして月1回のミー ティングに参加してきました。ミーティングの参加者は社長、 取締役、経理担当者です。毎月、経理担当者が作成した試算表をベースに議論を行います。

(経理担当者) 「先月の売上高は昨年対比伸びましたが利益は減っています。」

(社長) 「A社さんで値引したからじゃないかな。」

(取締役) 「いや、工場の人件費が増えたからではないでしょうか。」

(全員) 「うーん・・・」

 昨年対比、売上高が伸びたにも関わらず、減益となった要因について、1時間程議論がなされて会議は終わりました。会議の結論は、毎回「もっと売上を伸ばそう。」で締めくくられます。 しかし、そもそも減益ではなく増益だった可能性があります。

 実際は減益ではなかったと考える理由は、試算表に在庫が反映されていないためです。仕入額がそのまま原価となっており、 先月68%だった原価率が今月は77%になっています。明らかに異常な増加です。同社の平均原価率は70%ですので、今月は単純に仕入が多かっただけで、在庫を考慮すれば実際は増益だった可能性が十分にあります。

 年商3億円未満の中小企業においては、正確に試算表を作成す る機能が備わっていないことが多いため、実は、同社のように不正確な試算表で経営判断がなされているケースも多いのではないかと感じます。しかし、正確な試算表を作成するためには、 財務に精通した人材を雇用したり、毎月棚卸を行ったりしなくてはならないため、負担が大きくなります。

 よって、正確な試算表を作成することに固執せず、思い切って、キャッシュの動きだけをまとめた「資金繰り表」を、経営管理ツールにすることを提案します。企業が最も注意を払わなくてはならないのは、赤字になることよりも資金を切らすことです。この点において、資金繰表の方が試算表よりも資金の動きが良く分かります。また、在庫額、 売掛金、買掛金、減価償却費など、実態を把握しにくい項目は 最初から考える必要はありませんので、作成も簡単です。不正確な試算表を管理ツールとするより、正確な資金繰り表を管理ツ ールとした方が、効率的かつ効果的かもしれません。

低粗利益率のビジネスは、小資本企業には不向きです H28.10.3

◆経営コラム 『低粗利益率のビジネスは、小資本企業には不向きです。』
 …粗利益率の意味は、ビジネスのおける関与の度合いと解釈できます。

■粗利益率の低いビジネス、高いビジネスは…
○最も粗利益率の低いビジネスは金融業です。
※金利を粗利益率と並列で表現することは少々乱暴ですが、こ こではあえてそうさせていただきます。 数%、住宅ローンには1%を割り込む金利の商品があります。大きな資金を極めて低コストで調達できて、長期間寝かせるこ とができる事業背景があって、はじめて金融業は成立します。

○次に粗利益率の低い業態は商社です。その与信力や保有する商圏を背景に、大きな取引の間に入って、10%以下のマージンを収入源にします。安定した資本力・資金力があって、はじめて商社ビジネスができます。
※商社のビジネスモデルは大きく変化しています。現時点では、事業への直接投資を行って、より多くのリスクとリターンをと る形態が主流です。

○次に粗利益率が低いのは流通業でしょうか。商品を作るメーカーがあって、そのメーカーから商品を仕入れて売ります。製造に関する利益はメーカーがシェアします。販売に関する利益が流通業態の利益になります。粗利益率は、30%~50%弱でしょうか。 (…中略)

○最も粗利益率の高いビジネスは、コンテンツやノウハウを提供するビジネスです。仕入れはありません。自分たちの知恵で価値を創造して、それ を販売します。

■粗利益率は外部との関わり度合いで決まります。粗利益率20%、これはエンドユーザーに届くまでの役務・価値の内の、80%は自社以外が担っている・生み出していることを意味します。 同様に、粗利益率50%はその関わり度合いが50%、粗利益率100%はそれが100%であることを意味します。

■粗利益率100%が必ずしも優ではありません。 粗利益率100%とは、ユーザーに商品やサービスを届けるまでに、他人の力を借りないことを意味します。良く言えば自前主義、悪く言えば協業ができない、故に、一般論として粗利益 率100%のビジネスは大きくなりません。

■低粗利益率のビジネスは、小資本企業には不向きです。 低粗利益率のビジネスは、大資本家向けです。他人の知恵と、 自身の資本力・資金力をうまく活用して利益を上げます。金融業や商社がこれに該当します。一方、小さな資本しか持ち合わせていない中小・零細企業や独立開業者は、「金は無いけど知恵を使う」ビジネスを行っていかねばなりません。その多くを他人の力に頼る低粗利益率ビジ ネスで成功することはできません。極めて難解です。

■小資本企業にとっての適正な粗利益率とは…
○感覚論で恐縮ですが…40%以上を目指してもらいたいと思 っています。

◆(相談者様)ネット通販で商品を仕入れて売ります。自己資金300万円と 借入れ600万円で事業を始めます。想定する粗利益率は20 %ぐらいです。これ以上の粗利益率をとると、売れないように思います。

◇(当方)事業資金総額900万円(内自己資金300万円)、粗利益率20%で資金繰り計画・利益計画を作るとこうなります。

◆(相談者様)そんなに厳しくなりますか。

◇(当方)そうです。粗利益率を20%以上設定できないと考える前に、粗利益率40%を設定しても売れる商品開発(商品発掘)に力 を入れませんか?

○仕入れの支払いサイトや資金の回収サイトにもよりますが、 総じて低粗利益率のビジネスは資金の動きが忙しくなります。 また、20の粗利益を得るために、100の回収リスクを背負うことにもなります。経営が複雑で難解になります。小資本企業が始める低粗利益率ビジネスは、成功の確率を最初から大きく引き下げてしまっていることをご認識ください。この機会にご一考ください。

より多くの資金を調達するコツ H28.9.29

◆財務コラム 『より多くの資金を調達するコツ』  
 …保証協会の枠をどの銀行に割り当てるかが重要です。

 成長過程にある企業の資金調達方針は、金利よりも金額を重視すべきです。安定期に入った企業は、投下資本に対する業績面の反応が鈍くなるため、調達額を増やして積極的に投資するより、調達コストを抑えて利益の拡大を図ることも必要です。しかし、スタートアップ、成長期の企業は、正しく投資をすれば 即座に業績に跳ね返ってくるため、金利よりも、調達額を重視することをおすすめします。(ここでは銀行筋からの調達を想定しています。ノンバンクなど、銀行筋よりも高い金利の場合は、良く検討する必要があります。)

 仮にA行より金額1,000万円、金利2.0%の提案があったとします。一方、B行の提案は、借入金額が1,500万円 で金利は2.5%です。A行の方が1,000万円あたりの金利は年間約5万円少なくなりますが、貴社が年間10%の利益 残せる事業をお持ちならば、B行から1,500万円を借り入れて事業に費やした方が、年間約32万円も資金を多く残すことができます。よって成長過程にある企業の場合は、金利を下げる方法よりも、より多くの資金を調達する方法を知っておくと役に立ちます。

 より多くの資金を調達する方法を、お客様の事例でご説明します。X社は、2期目が終わった時点で、メガバンクのプロパービジネスローン1,000万円の融資を受けています。3期目の期中に、飛び込みで来たある地方銀行の担当者より、保証付き融資の提案を受けました。しかし、社長様は、既に取引のあるメガバンクに依頼するのが筋だと考え、地方銀行の提案を断って、メガバンクで1,000万円の保証付き融資を受けまし た。丁度この頃、弊所に財務部長のご依頼をいただきました。金融機関との取引が増えてきたため、財務を強化したいとの申し出です。弊所はより多くの資金を調達する方針を提案し、社長様にも賛同いただきました。

■より多くの資金を調達する方法
 X社は大変利益率の高いビジネスを行っており、3期目の業績はすこぶる好調です。次の資金調達のタイミングである3期目の決算後は、保証協会で5,000万円以上の調達も期待できます。問題はどこの金融機関で調達するかです。

 金利を重視するならばメガバンクに申し込みます。しかし、メ ガバンクの場合は、保証協会が承認した金額を融資して終わりです。新規取引のキャンペーンでプロパービジネスローンを出してくれましたが、X社は、まだまだメガバンクが本格的にプロパー融資を検討する規模には至っていません。

 より多くの金額を調達するならば、プロパー融資を検討してもらえる地方銀行、信用金庫に申し込みます。3期目の決算は好決算になる見込みであることを説明し、保証協会の枠を与える代わりにプロパー融資を検討してもらうよう依頼します。保証協会の調達額はどこの金融機関を経由しても基本的には同じですので、そうすることでプロパー融資の分だけ調達額は多くなります。

 X社の場合も、前回お断りした地方銀行にお声掛けしたところ、 決算後に保証付き融資を申し込むことを前提として、プロパー 融資1,000万円を決算前に出してくれました。

○銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、『貴社の財務部長代行』を廉価でお引き受けいたします。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会正会員事務所である当事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

新規事業の数値計画を作成するコツ H28.9.22

◆財務コラム 『新規事業の数値計画を作成するコツ』  
 …必要な経費から逆算して作成することをおすすめします。

 先日、あるお客様の新規事業計画書の作成をお手伝いしました。 ある商品を仕入れてインターネットで販売する事業です。以下、お客様とのやり取りです。

私:どれぐらい売れば黒字化する見込みですか?

お客様:売上によって経費も変わりますので計算に苦労しています。300万円の売上高でも経
   費を抑えれば利益は出ますし、500万円の売上高だと経費も増えますので逆に赤字にな
   る可能性も・・・

私:売上を基準に考えるよりも経費を基準に考えてはいかがでしょうか?まずは、いくら売れ
 そうかではなく、現実的にいくら経費を必要とするかを検討してみましょう。家賃や正社員
 の人件費など、売上がゼロでも必ずかかる費用はどれぐらいでしょうか?

お客様:月100万円ぐらいでしょうか。

私:今回の事業に投資できる資金は、自己資金と借入金を合わせて 700万円ですよね。仮に全
 然売れなくても7か月は持ちますね。ただ、初期仕入れなども必要でしょうから、概ね6か
 月以内に黒字化しないといけません。

お客様:6か月以内ですね。どれぐらい売れば黒字化するのでしょうか?

私:目標売上高は商品の粗利益率によって変わります。粗利益率はどれぐらい取れそうです
 か?

お客様:20%は取れると思います。ただ、モールの手数料が5%かかります。

私:では粗利益率15%で計算しますね。【固定費100万円÷粗利益率0.15=666.6万円。】
 おおよそ666万円の売上高でトントンです。実際に達成できそうな数字でしょうか。また、
 そもそも固定費100万円の陣容で666万円の販売は可能でしょうか?

お客様:いえ、今の人数だと500万円ぐらいが精一杯です。

私:そうですか。では、固定費をもっと下げませんか?

お客様:いえ、できれば固定費は下げたくないですね。

私:それでは粗利益率を上げるしか方法はありませんね。仮に粗利益率を20%で計算する
 と、丁度売上高が500万円で収支ト ントンになります。25%だと400万円でトントンです。

お客様:それぐらいの売上高なら当初考えていた通りです。ただ、粗利益率が20%以上必要なのですね。

私:はい、100万円の固定費で物理的に660万円の売上高を上げることができない、また、固
 定費は下げない方針とのことですので、粗利益率を上げるしか方法は残っていません。

お客様:分かりました。売上高を基準に考えるより、自分が必要とする経費から売上高を予測
   する方が、現実的で分かりやすいですね。

 新規事業などの読みにくい売上計画を作る時は、「いくら売れそうだ」と考えるよりも、「いくら売らねばならない=損益分岐点」を基準に試算する方が現実的です。このように算出した損益分岐点売上高を実現できる蓋然性を確認しましょう。机上で論理を組み立てることはもちろん重要です。しかし、実践できなければ意味がありませんので、計画は売上予測からで はなく、自身が投資可能な経費から作成してみてはいかがでし ょうか。

○銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、 『貴社の財務部長代行』を廉価でお引き受けいたします。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会  正会員事務所である当事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

営業利益率+5%を目指しませんか? H28.9.19

◆経営コラム 『営業利益率+5%を目指しませんか?』
 …時には、増収をあきらめて、増益狙いに舵を取ることも必要です。

■年商約5億円、営業利益約1,000万円(減価償却費 約1,500万円)の飲食業を経営しておられる社長様からご相談いただきました。

◎〔社長様〕 
  「テナント出店の依頼を受けているので出店したいが、家賃が少々高めで損益分岐点ギリ
  ギリかも?」、相談を名目に来所さ れておられますが、真意は「出店したいので背中を押
  してくれ」 と言わんばかりです。

○〔当事務所〕
  「来年は、上手く行って年商5億7,000万円、営業利益1,000万円(現状維持)になりま
  すね?」少し意地の悪い 質問をさせていただきました。

○〔当事務所〕
  「なぜ、利益が出そうもない出店(社長自身がそのようにおっしゃっています。)を目論
  むのですか?」さらに、意地悪な質問をぶつけさせていただきました。 …中略…

●〔結論〕
   空きテナントへの出店、SC(ショッピングセンター)からの持ち込み案件であるにも
  かかわらず、当方の意向よりも家賃が高いため、大幅な条件変更をダメもとで提示して、
  先方からの 回答を待つ。提示条件以外であれば出店を止める、以後の条件交渉はしない…
  結論に落ち着きました。 ※自分自身で条件を決めて、家賃が■■万円以下なら出店する。
  1円オーバーしても出店しない。この様に条件を決めて相手に判断を任せる方法もありま
  す。…中略…

◎〔社長様〕
  「集中して使う食材▲▲を自前で調達できる仕組みを考えてい る。上手く行けば、新鮮な
  ▲▲を安く調達できるようになる。」

○〔当事務所〕
   「コストダウンは金額換算でいくらぐらいになりそうですか?」

◎〔社長様〕
  「500万円~700万円ぐらいにはなりそうだ。」

○〔当事務所〕
  「相応な利益を積めますね。」 …中略…

○〔当事務所〕
  「営業利益率は現在2%ですね。赤字店舗もありますね。」

◎〔社長様〕
  「そうですね。」

○〔当事務所〕
  「赤字店舗、黒字化を目指すか、退店してはどうですか?いずれにしても目処付けしませ
  んか?」

◎〔社長様〕
  「一店舗毎の見極めと対応が必要ですね。」 …中略…

●〔結論〕
   魅力の無い新店舗の出店に経営資源を投入するよりも、品質向上とコストダウンが実現
  できそうな▲▲の内製化に注力する。 また、一店舗毎の店舗再構築を実施する。…この結
  論に至りました。 ※もちろん、やってみないとわかりませんが、これに注力する方がより
  前向きです。

◎〔社長様〕
  「売上を積み上げること、店数を増やすことのみに長年邁進してきました。この新店につ
  いても、何とか出店したいとの想いのみで、冷静な判断を欠いていました。」 後日このよ
  うな言葉をいただきました。

■時には、増収をあきらめて、増益狙いに舵を取ることも必要です。売上高は確かに重要で
す。否定するつもりはありません。ただ、それにも程度加減があります。長期間、とにかく売上至上主義で、我武者羅に売上高のみを追いかけ続けることは間違えです。この様な状況の会社様は少なくありません。一度立ち止まってもらいたいと思っています。一旦、売上高を増やすことを止めて、売上の中身の見直しを行ってください。増収を長年続けてきた会社様の場合、大幅な増益に転じること もあります。

融資決定までの流れ H28.9.16

◆財務コラム 『融資決定までの流れ』  
 …金融機関内での融資決定のプロセスを解説します。

 金融機関に融資を申し込んだが、中々回答がもらえず、じれったい思いをした経験のある方も多いのではないでしょうか。金融機関に融資を申し込んだ後、金融機関の内部ではどのよう な作業が行われているのでしょうか?

◆融資申し込みから決裁までの一般的な流れ
 ・新規融資の申し込みを受けたら、決算情報や基本情報等をシステムに登録します。決算書
 情報の登録などはセンターで集中的に行っている場合が多く、この場合、決算書を社内郵便  でやり取りしますので、登録するだけで3日ぐらいかかってしまいます。 

 ・決算書情報の登録が完了したら、財務分析資料をシステムから打ち出して決算分析を行い
 ます。決算分析は実作業だけで半日以上かかります。また、決算内容について、必ず不明な  点が出ますので、社長様に質問をしますが、「税理士に聞かないと分からない。」といった
 内容のものが多いため、回答を得られるのに数日、長い場合は数週間を要します。

 ・財務分析の結果が良ければ、いよいよ稟議書の作成に取り掛かります。案件のボリューム
 にもよりますが、稟議書作成の実作業も半日以上はかかります。

 ・担当者が作成した稟議書は、代理→次長→副支店長→支店長といった順番で決裁されてい
 きます。本部審査案件の場合は、支店長からさらに本部の審査役に回ります。物理的には、
 1日2日あれば決裁できそうですが、大抵の場合、誰かが外出していたり、他にも優先すべ
 き事項があったりしますので、実際は数日かかります。もちろん途中で差し戻されることも  あり、そうなれば修正する時間と再度回覧する時間がさらにかかります。

  登録に3日、財務分析に3日、稟議書作成に3日、回覧に3日 かかったとして12日で
 す。金融機関の営業日数は1か月で約 22日程度しかありませんので、担当者が複数の案件
 を抱えていたり、質問のやり取りに手間取った場合、簡単に1か月が過ぎてしまいます。融
 資の申し込みから決裁までに、それなりの時間を要することを見越して、申し込みは余裕を
 持って行いましょう。また、質問に対する回答は、少しでも早く行うことが、案件をスムー
 ズに進めるコツになります。

ナンバーワンよりオンリーワンを! H28.9.12

◆経営コラム 『ナンバーワンよりオンリーワンを!』
 …今ないモノ、あっても注目されていないモノ、マーケットが小さすぎて大手が参入しにく
 いモノを対象とするビジネスは  前途洋洋です。

■ナンバーワンよりオンリーワンを目指しましょう。ナンバーワンは、競争に勝って一番になることです。オンリーワンは、競争せずに一番(?)になることです。競争しないためには、他人・他社と違うこと、世の中にないことを行うことです。お金・人・モノ、これらの経営資源の乏しい会社こそ、競争しない経営を心掛けるべきではないでしょうか?小規模零細企業、または、これから独立開業される方こそ、この発想が重要です。

■ほんの少し目先を変えて考えてください。誰もが腰を抜かすような、画期的な商品やサービスを開発するに越したことはありませんが、容易ではありません。いきなりこのようなことができる会社・社長は稀有です。そうではなく、今取り組んでいる事業の、ほんの少し目先を変えて、どこにもないモノ・コトを開発しましょう。

■オンリーワンの実現こそ成功のカギです。
○高額商品でオンリーワンになる。
 一本(3斤)3,000円を超える食パンをネット通販で販売 しておられる会社様があります。こんなに尖った食パンを求める顧客は多くありませんが、ネットを使って全国に展開すれば、年商5億円~10億円(推測)ぐらいのパンメーカーが生まれます。多分高収益なはずです。まさに、『新・食パン』メーカーです。ネット通販は、大きな商圏に対して、尖った商品を限定した顧客を対象に販売するのに最適です。とんでもない高額商品・サービスを開発してみてはいかがですか?
 ※ネット通販環境の進化は、大商圏に向けて小資本でビジネス を展開することを可能にしま
 した。
○限定して特化した専門業態でオンリーワンになる。
○「サバ」に特化した飲食業態
○「抱っこひものカバー」の衣料品メーカー 

 今ないモノ、あっても注目されていないモノ、マーケットが小さすぎて大手が参入しにくいモノを狙い、それに全勢力を集中させることで、小規模零細企業、これから独立開業される方には十分な成功を謳歌できるはずです。「鮮魚」専門店や、「抱っこひも」のメーカーは乱立しています。レッドオーシャンです。ブルーオーシャンには成り得ません。

○基本機能に、新たな機能を付加した新業態でオンリーワンになる。当事務所はオンリーワンを目指して新たな機能を追加して、それを謳っています。僭越ですが、紹介させていただきます。

◆『新・税理士宣言』 …我々『新・税理士』は、税務+財務・金融のプロです。
○税理士は税務のプロです。
→我々『新・税理士』は、税務+財務・金融のプロです。

○税理士は、税務申告のために経営数字を預かります。
→我々『新・税理士』は、税務顧問業務にプラスして、『資金繰り円滑化支援業務(キャッシュフローの番人業務)』を引き受けます。継続的にお預かりするクライアントの経営数字を税 務申告のためだけではなく、資金繰りの円滑化のためにも活用します。

○「金融機関を紹介して欲しい。」と税理士に依頼すれば、紹介してくれます。
→「金融機関を紹介して欲しい。」と我々『新・税理士』に頼めば、融資の可否・金額の妥当性を勘案したうえで、多数の金融機関との事前調整を行います。さらに、資金繰りの状況を勘 案しながら、資金調達の必要性を都度事前に提案いたします。

…続きます。 他にもあるサービスやモノでビジネスを成功させるためには、 高度な経営力やたくさんの資金が必要になります。一方、今ないモノ、あっても注目されていないモノ、マーケットが小さすぎて大手が参入しにくいモノを対象とするビジネス は前途洋洋です。前者はいばらの道、大手企業の選択する道であり、小規模零細企業、これから独立開業される方が選択する道ではありません。画期的な商品やサービスでなくても、今取り組んでいる事業の、ほんの少し目先を変えて、どこにもないモノ・コトを開発して取り組みましょう。 成熟した日本においても、その小さな隙間は無数に残っている と確信しています。

※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』 ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。 我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。

未来のことを説明しましょう H28.9.8

◆財務コラム 『未来のことを説明しましょう』  
 …未来のことは自ら説明しないと察してもらえません。 

 先日のご相談事例です。日本政策金融公庫より創業融資を受けている創業2期目の企業様より、「後3か月ほどで資金が枯渇するため新たな融資を受けたい。」というご相談をお受けしました。

 話を良くお聞きすると、創業融資を受けたときから事業内容が進化しており、当初は国内だけの販売を想定していたが、海外での需要も見込まれることが判明し、海外展開も視野に入れて活動を開始しているとのことです。具体的に営業が進捗している案件もあり、数か月内に1,000万円程度の海外売上も見込んでいます。しかし、足元の試算表を確認したところ、売上高はそれなりに上がっていますが、まだ創業赤字からは脱却できていない状況です。

 私からは、「足元の業績が赤字であるため新規融資は簡単ではないが、具体的な売上も見込まれていることから、日本政策金融公庫の海外展開融資を申し込んではどうか。」と提案しました。しかし、社長様によると、既に日本政策金融公庫には事前に打診済みであり、現在回答を待っている段階とのことでした。日本政策金融公庫に提出した資料について聞いてみると、公庫の担当者より「決算書はいただいているので試算表だけ送って ください。」と言われたため、試算表のみを提出したとの回答が返ってきました。

 日本政策金融公庫から依頼された資料は確かに試算表だけですので何も間違ってはいませんが、既に提出済みの赤字の決算書 と、今回提出した赤字の試算表で事前審査を依頼しても、良い回答がもらえるはずはありません。絶対に補足説明が必要です。

 金融機関が過去の実績を重視するのは間違いありませんが、決して未来を見ていない訳ではありません。具体的な売上の見込み等がある場合は好意的に受け止めてもらえます。しかし、過去の実績は財務諸表で分かりますが、未来のことはこちらから説明しなければ金融機関は知る由もありません。過去の財務内容で評価できる点がないならば、それ以外の評価できるポイントがなければ審査に通る可能性は殆どありません。試算表を送ってくれという指示に素直に従うのではなく、直接お会いして未来の説明を行いましょう。

「知る」ことで多くの不安が解消されます H28.9.5

◆経営コラム 『「知る」ことで多くの不安が解消されます。』
 …故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

■消防士は火に対する知見を有しています。故に、大丈夫、危険だ…これらを正しく判断できます。危険な 火災現場に遭遇しても、最小限のリスクで最大限の対応ができるのはこのためです。 仮に、無知な消防士(?)が消火活動を行ったとすると、過度に恐れて適切な消化活動ができない、または、蛮勇で無茶なそれを行うことになるはずです。いずれも正しい消火活動とは程遠い結果になります。消防士は、日々欠かさず、火に対する勉強と訓練を積んでくれています。

■社長も経営を「知る」ことが重要です。経営には不安がつきまといます。具体的な不安、漠然とした不安…無限の不安が心に降り注いできます。ある種の必然で仕方ありませんが、これらの不安を軽くする方法はあります。

○人は、わからないことに多くの不安を感じるようです。
 ・「知る」ことで多くの不安が解消されます。
 ・「知る」ためには勉強が必要です。  

 故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

○「知る」ことで、程度加減がわかります。
 ・「知る」ことで、ここまでは大丈夫、これ以上はダメ、この境界が見えます。
 ・「知る」ことで、経営判断の精度が向上します。  

 故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

○「知る」ことで、「自分の知らないこと」を認識できます。
 ・知らないことを認識すること(=「無知の知」)は重要です。
 ・「知る」ことに重点的に取り組むことができます。
 ・「自分の知らないこと」には取り組まない、または、他人の知恵を借りる癖が付きます。

 故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

■過度の心配は払しょくしましょう。チャンスを逃してしまいます。逆に、蛮勇もご法度です。会社をつぶしてしまいます。「無知」な社長は二つのパターンに分かれます。

◆1.過度に恐れて攻めることができない社長。
   リスクを過大評価して、一歩も前に進めません。前に向かってアクセルを踏めない原因
  の一つは「知らない・わからない」からではないでしょうか?

◆2.蛮勇を背景に突っ走る社長。
   リスクや実力を省みることなく、とにかくアクセルを踏み続けます。過度に邁進できる
  理由の一つは「知らない・わからない」からではないでしょうか? いずれも正しい経営と
  は程遠い結果になります。

■「知る」ことは大変大きな収穫をもたらします。社長が経営の勉強をすることには大変大きな意味を持ちます。その経営成績、収穫に直結します。ただ、社長が勉強すべきテーマは極めて広範囲で、何からどのようにすればよいかわからない、とおっしゃる方も少なくありません。まさにその通りですが、これにもヒントはあります。

○不安なことから勉強してください。不安を解消しましょう。

■何が不安なのでしょうか?人・モノ・金…? 人の問題は、人的投資を続ければ改善します。 モノの問題も、開発投資を続ければ改善します。経営上の問題は、結局お金の問題に終結します。少し乱暴な論理を展開するならば、(中小零細企業)経営の問題はほぼすべてお金の問題に置き換えることができます。結局お金の心配が一番大きな問題ではないでしょうか?まずはお金の不安を完全に払しょくしませんか?お金の不安を払しょくするためには「お金について知る」こと です。「財務とは何?」多分このあたりから始める必要がありそうです。

 ・「無知」は大きな損失を招きます。損をします。
 ・「無知」は不安の大きな原因の一つです。病みます。

 「知る」ことで多くの事を解決できます。故に、賢明な社長は 日々勉強に励みます。

財務の具体的な業務について H28.9.1

◆財務コラム 『財務の具体的な業務について』  
 …具体的に財務とは何かを説明できるようになりましょう。 

 おかげさまで、「財務面を強化したい。」という新規のお問い合わせが増えて参りました。中小企業の財務面を強化するための当協会の活動が、少しずつ認知され始めたような気がします。しかし、お問い合わせをいただいたお客様と話をしてみると、「財務」という業務に対して、「漠然としたイメージは持っているが、実は具体的な業務内容については理解できていない。」 というお声を良く耳にします。 ウィキペディアによると、財務とは、

・資産、負債、損益、キャッシュフローの管理
・資金の調達、および調達した資金の運用 となっています。

 「資産、負債、損益、キャッシュフローの管理」とは、具体的には、試算表と資金繰り表を作成することです。試算表を作成することによって、資産、負債、損益の状況を知ることができ、 資金繰り表を作成することによって、資金の状況を知ることができます。 しかし、財務の本当の価値は、次の「資金の調達、および調達した資金の運用」にあります。金融機関等から資金を調達する活動、そして、調達した資金をどの分野に投下するのが最良かをシミュレーションすることです。

■財務の具体的な業務内容を以下にまとめます。
1.試算表と資金繰り表を作成します。
  試算表と資金繰り表は、あらゆる財務的な判断を行うための基礎資料となります。

2.資金を調達します。
  倒産しないため、事業を拡大するために資金は必要です。十分な資金を確保し続けられる
 よう、定期的に資金調達を行う必要があります。

3.資金の運用方法について検証します。
  どの中小企業も潤沢な資金がある訳ではありません。人を新たに雇うべきか?外注にする
 べきか?など、資金をどのように使うのが一番効果的かどうか、しっかりと検証して使いみ
 ちを決定する必要があります。

 試算表や資金繰り表を作成することが財務ではありません。作成した資料と実際の経営状況を考慮して、最良の判断を行うことが財務の本当の価値です。いくら大企業の財務部で活躍した人材でも、中小企業の事情が分かっていなければ適切な判断はできません。ここに中小企業 の財務の難しさがあります。

○銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、『貴社の財務部長代行』を廉価でお引き受けいたします。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会  正会員事務所である当事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

繁盛貧乏に陥らないために・・・ H28.8.29

◆経営コラム 『繁盛貧乏に陥らないために…』  
 …忙しいけど儲からない5つの理由!

■収益と忙しさの状態で会社を4つに分類すると以下になります。
1.繁盛高収益企業
  …「当社は忙しいです。故に大変儲かっています。」
2.閑散貧乏企業
  …「当社は暇です。故に儲かっていません。」

 上記の二つは納得できます。また、 

3.閑散高収益企業
  …「当社は多忙ではありませんが、それでもしっかり利益を出しています。」

4.繁盛貧乏企業
  …「当社は超多忙ですが、利益はありません。」

■繁盛貧乏企業にならないように、また、そうであるならば抜け出すための方法を考えてみましょう。 繁盛貧乏に陥る会社には概ね共通点があります。

◆理由1:価格(安売り)を売るための道具として安易に利用する。
 事業は、その商品やサービス内容、ブランドで競合と戦っていかねばなりません。そのサービス内容やブランドを磨かずに、その不足分を価格で補おうとする行為は命取りです。価格は売るための道具ではありません。この認識と決意が必要です。売るための道具として安易に低価格を訴求していると、繁盛貧乏に陥ります。
 ⇒価格(安売り)を売るための道具として安易に利用しないでください。

◆理由2:閑散であることに耐えられない。売上至上主義に陥る。
 とにかく売上が欲しい、間違えではありませんが、売上の総額だけを追いかけると、利益の概念が希薄になります。売上だけを求めずに、利益を同時に追いかけてください。
 ⇒売上至上主義に陥らないでください。

◆理由3:心から利益を求めていない。
 節税指向を過度に持ち合わせている社長も少なくありません。税金は、利益に係数を乗じた金額です。節税の行きつくところは利益を出さないことです。心から利益を求めない事業体が高収益を上げることはありません。 ※できる節税は当然しっかり行いましょう。
 ⇒利益を心の底から求めてください。

◆理由4:ビジネスモデルが疲弊している。事業領域が悪い。
 「貴社は、類似の他社と何が違いますか?」この質問に対して、明確な解を提供できない会
社は絶対に儲かりません。この解を顧客に提供し続けること、そのために商品やサービス内容、ブランド等を徹底的に磨きましょう。
 ⇒どこにでもある事業は通用しない時代です。上手く行っても 繁盛貧乏です。他にない何か
 を創り上げましょう。

◆理由5:客層が悪い。(生きる世界が悪い。)
 世の中は原因と結果、因果の関係が明確に成立しています。良い会社には良い顧客が、そうでない会社にはそうでない顧客が、逆に、良い顧客は良い会社を、そうでない顧客はそうでない会社を選びます。鶏と卵…どっちが先かの議論に終着しますが、価格(安売り)を売るための道具として安易に利用すると、それに乗っかって、他者の価値を認めない顧客が訪れるようになります。いかがでしょうか?
 ⇒良い会社(事業)を作って良い顧客とお付合いしましょう。忙しいのに儲からない「繁盛貧乏」の状態は、会社を根底から疲弊させてしまいます。この状態を継続すると、知恵を生む気力を奪い去ってしまいます。最終的に市場から退場する会社の多くはこのパターンです。

1.価格(安売り)を売るための道具として安易に利用しないでください。
2.売上至上主義に陥らないでください。
3.利益を心の底から求めてください。
4.他にない何かを創り上げましょう。
5.良い会社(事業)を作って良い顧客とお付合いしましょう。

 この機会にご再考いただければ幸いです。

融資申込時のセルフチェック H28.8.25

◆財務コラム 『融資申込時のセルフチェック』  
 …違和感のないストーリーに仕上がっているかをご確認ください。  

 資金調達を成功させるためには、資金使途、事業計画、返済原 資等のポイントを明確にしたうえで、一貫したストーリーに仕 上げておく必要があります。これを案件構築といいます。 以下、一般的なストーリーの流れをご紹介します。

■第1章:自己紹介
 ストーリーの始まりは自己紹介です。どのような思いや目標を 持って取り組んでいるのか。今までの実績はどうなのか。現状はどうなのか。といった点を説明します。

■第2章:資金の使い道
 第1章で説明したこんな私が、次に何をしようとしているのか。そして、その取り組みにはどれぐらいのお金が必要になるのか。といった点を説明します。具体的には、「新店舗を出店したい。」「仕入を増やしたい。」「人員を増加したい。」といった内容 です。

■第3章:事業計画
 第2章で説明した取り組みを行った結果、今後はどのような姿になるのかをまとめます。具体的には、売上、利益、資金繰り等が、現状と比較してどのように変化するのかを明確にします。

■第4章:どうやって返済をするのか
 返済が可能な理由を、第3章で示した売上増加額、利益増加額を用いて明確に説明します。 小説ではありませんので、融資申し込み時のストーリーに奇想天外な展開は必要ありません。誰が聞いても違和感のないストーリーが求められます。良く見られる奇想天外なストーリーとは、私は建築屋ですと自己紹介しておきながら、第2章でラーメン店を出店したいとな っていたり、ラーメン店を出店したいと言いながら、融資申し込み金額が一般のラーメン店の投資額よりはるかに大きかったりします。 建築屋さんがラーメン店をやってはいけないと言っているのではありません。建築屋さんがラーメン店をやろうと考えるに至ったストーリー、普通のラーメン店よりも大きな投資をしようと考えるに至ったストーリーをしっかりと構築しなくてはならない、という意味です。

 これから融資の申し込みをしようと考えている経営者様、上記の流れに沿って案件説明をした場合、聞き手が違和感なく聞く ことができるストーリーに仕上がっているかをご確認ください。

結果を予見してコントロールすることが経営管理です H28.8.22

◆経営コラム 『結果を予見してコントロールすることが経営管理です。』
 …経営(管理)の最終目標は、売上高・粗利益率・販管費のすべての項目を確実にコントロ
 ールすることです。

■経営の最終目標は、売上高・粗利益率・販管費のすべての項目を確実にコントロールすることです。これができれば、結果として望む利益も創出できます。

◆ただ、これらの指標は、それらが複雑に絡み合っているので厄介です。
 例えば…
 ・売上を上げようとすると、販促費(販管費)が膨らむ。
 ・一方、販促費(販管費)を投入しても、予定通り売上が増えるわけではない。
 ・割引をして粗利益率を落とすと売上が増えることがある。
 ・ただ、売上が増えても、粗利益の総額(売上×粗利益率)が増えないこともある。
 ・逆に、値上げをすることで、売上が増えることもある。
 ・営業人員(販管費)を増やせば売上が増えるはずである。
 ・ただ、人件費(販管費)の増加分を賄えないこともある。
 ・旅費交通費(販管費)を減らせば、売上が落ちることがある。
 ・開発費(販管費)を増やせば、将来の売上は増えるはずだ。
 ・ただ、将来とはいつなのか、また、どれぐらいなのか予見しにくい。

◆また、投資と成果には時間差が出ることも問題を厄介にしています。
  例えば…
 ・販促費(販管費)の投入と売上の増加には、タイムラグが発生する。
 ・営業人員(販管費)の投入と売上の増加には、さらに大きなタイムラグが発生する。
 ・開発費(販管費)の投入と売上の増加には、相当長期のタイムラグが発生する。

◆本来コントロールできるはずの、単独の販管費項目ですら見込み違いが発生します。
  例えば…
 ・人件費(販管費)に想定外の時間外手当が発生して止まらない。
 ・採用がうまく進まず、採用コスト(販管費)が膨らんだ。
 ・投資(販管費)が計画を大きく上回ってしまった。
 ・原価の高騰で粗利益率が下がってしまった。

 だから経営とは面白くもあり辛くもありますが、社長という道 を選んだのなら、楽しみながら取り組みたいものです。

■長い時間を経て、経営管理体制を構築して、安定した業績を出せている会社は、様々な指標が、結果として適正にコントロ ールされています。
 ・既存の業容のまま、少しの成長を付加しようとするとき、結果に大きな狂いは生じないは
 ずです。販管費に新規採用分の人件費や追加の開発費・販促費等を追加して、それらの売上
 に対する貢献分を売上に足しこんで利益を予見します。
 ・ただ、大きな投資や新しい事業に挑戦する時は、上記の様に容易ではありません。現業の
 指標に対して、動く費用の割合が大きくなるので、その精度は著しく低下します。

■創業時や新規事業の立ち上げ時に、計画通りコントロールすることはほぼ無理です。
 ・第10期目に立てた第11期目の計画は、総じて正しく終結するはずです。
 ・一方、創業時に立てた第1期目の計画は、概ね当たりません。 故に新規事業の立ち上げ、
 創業は、少なくない比率でうまくいきません。また、「創業事業計画を鵜呑みにしてはいけ
 ません。」 とお伝えするのはこのためです。

■それでも、経営を安定・成長させるためには…

◆1:コントロールできることを完全にコントロールすること
◆2:頑張ればコントロールできることをできるだけコントロールすること
◆3:コントロールできないことには、出来るだけ適合すること

 この三つを意識して経営していかねばなりません。極めて難解なコントロール業務も、意思を持って継続すれば、何とかなるものです。 経営の最終目標は、売上高・粗利益率・販管費のすべての項目を確実にコントロールすることです。これができれば、結果として望む利益も創出できます。 まずは、月次の資金繰り管理から始めてください。 経営を管理する、この発想は極めて重要です。管理は出来るよ うになります。

創業1年後の追加融資事例 H28.8.18

◆財務コラム
『創業1年後の追加融資事例』
…当初計画との乖離について明確な説明が求められます。

 良くあるご相談のひとつに、「創業融資を受けて創業したけれど、追加融資が必要になった。」というものがあります。創業前の創業融資は、要件を満たせば比較的容易に借入できますが、実際に事業を始めてからの創業融資、追加融資は、少し難しくなります。実際の事例に沿ってご説明します。

◆お客様の概要
・会社名:A株式会社
・事業内容:ホームページ制作業、インターネット通販事業
・1期目業績:売上高約3,000万円、経常利益トントン

 資本金300万円で創業し、創業融資600万円を受けて事業を開始しました。しかし、当初予定していたホームページ制作業では思ったように売上が立たず、途中でインターネット通販
事業を開始しました。結果、初年度売上高3,000万円のうち、2,500万円が通販売上高となりました。利益はトントンです。

 1期目の決算直後、日本政策金融公庫に追加融資を電話で打診したところ、「据え置き期間があり、返済開始から1年経過していないので追加融資は難しいと思いますが・・・」という反応でした。しかし、とりあえず説明だけでも聞いて欲しいとお願いをしてアポイントを取りました。

 数日後、初年度の決算書、創業融資申し込み時に提出した計画書、過去1年間の資金繰り表、向こう1年間の資金繰り計画表、を持って訪問しました。そして下記の流れで説明を行いました。

・創業融資を申し込んだ際は、ホームページ制作を主事業と考えていたが、服飾品を取り扱う取引先より商品を売って欲しいと依頼があったため、ネット通販事業を開始した。
・当初計画ではホームページ制作により売上高2,000万円を見込んでいたが、ネット通販に主事業が変わったため、売上高は3,000万円に増加して着地した。
・利益面では仕入が発生したため当初計画を大幅に下回った。
・しかし、いま仕入資金を300万円増やせば、今期の売上高は5,000万円を見込むことができ、これに伴って200万円の経常利益を確保できる。
・よって、仕入資金と事業拡大に伴う人員の増加資金として、合計500万円の追加融資をお願いしたい。

 公庫さんの追加融資に関する基本的な考え方は、「本来は創業融資で事業を軌道に乗せなくてはならない。追加融資が必要になるということは、当初の計画どおりに進捗していないと考えられる。」とのことでした。

 しかし本件については、「事業内容の変化により、当初は予定していなかった仕入資金が必要になったもの。ネガティブな理由で追加資金が必要になった訳ではない。また、初年度で約
3,000万円の売上実績を作ったことはポジティブに評価できる。」として500万円の追加融資を承認してくださいました。

 創業時に提出する計画書は、追加融資を受けることなく軌道に乗る計画になっているケースが多いと思います。よって、追加融資を受ける場合は、今回の説明だけでなく、前回提出した計画書から説明し、状況がどのように変化したかを説明する必要があります。

社長にはビジネスモデルの構築責任があります H28.8.15

◆経営コラム 『社長にはビジネスモデルの構築責任があります。』
 …社長の仕事は、ビジネスの立ち位置を考えることです。

■仮に、同じ能力を備えた5人の従業員が2チーム(赤組と白 組)あったとして、また、スタート時の資金力などの経営資源を同じにして、この同じ能力のチームを2人の社長(A社長が 率いるA社と、B社長が率いるB社とします。)がそれぞれ雇用して経営を行ったとき、A社とB社の3年・5年・7年後の 経営成績は同じではありません。それどころか、全く違うもの になっているでしょう。A社とB社で社長が違うからです。

■例えば… ◆ポケモンGOの例で解説します。
○レベル1
・ポケモンGOって何?関係ないと考える社長
・ポケモンGOで遊びほうける社長

○レベル2
・早々にルアーモジュール(使用した場所周辺に30分間ポケモンが出現する。)等を活用して、自店に集客を図ろうとする社長
・充電器をいち早く販売しようとする社長

○レベル3
・ポケモンGO(任天堂)と業務提携する社長

○レベル4
・ポケモンGOの開発・販売に当初からかかわる社長

○レベル5
・そもそもポケモンGOを開発・販売する社長

◆不動産業の例で解説します。
○レベル1
・値上がりしそうな土地を従業員総出で我武者羅に探して仕入れる社長

○レベル2
・大規模な開発情報を探して、それを見込んで近隣の土地を仕入れる社長

○レベル3
・安い土地を仕入れて、自社で大規模な開発を仕掛ける社長

◆製造小売業の例で解説します。
○レベル1
・何処にでもあるものを値切られながら従業員総出で販売する社長

○レベル2
・薄利ではあるが、営業が上手でたくさん売れる社長

○レベル3
・レアな商品、高くてもどんどん売れる商品を作れる社長

■自社の事業に置き換えて考えてみましょう。 少しでも高いレベルに立ち位置を取った方が事業はうまく行きます。どの立ち位置の会社なのか、より上位の立ち位置を模索する社長なのか?この違いが会社の将来の業績を決めます。裏を返せば、この立ち位置を考える仕事、(広義の)ビジネスモデルを考える仕事こそ社長の仕事です。ポケモンGOを見て、もちろん諸々問題も残りますが、これほどの仕組みを創り出したことには驚きを感じます。ただ、すごいな…で終わらずに、自社にとっての発明・創造に置き換えてみましょう。 何も創造せずに、ただただ日常を過ごすのか? せめて他人の創造に謙虚に相乗りして、精一杯果実を得ましょう。最後は、仕組み自体を自らが創造する立ち位置を目指しましょう。

■経営成績の差は、従業員のクオリティーの差ではありません。 経営成績の差は、社長が創り出すビジネスモデル、立ち位置の差に依るところが大半です。 良い従業員が良い事業を生み出すのではなく、良い事業が良い 従業員を作ります。もちろん、良い事業は良い社長から生まれ ます。「良い社長⇒良い事業⇒良い従業員」が正解です。社長にはビジネスモデルの構築責任があります。社長の仕事は、ビジネスの立ち位置を考えることです。そして、事業の行く末 は、すべて社長次第です。

試算表を作成する意義 H28.8.11

◆財務コラム 『試算表を作成する意義』
 …作成するメリットだけでなく作成しないデメリットも考慮しましょう。

 融資の申し込みをしたら銀行から試算表の提出を求められた。普段から作成していないので時間がかかりそうだ。急いでいるのに困った・・・という経験のある経営者様も多いと思います。私の経験則ですが、資金調達のご相談に来られる年商3億円未満の中小企業様で、毎月試算表を作成している企業様は3割程度しかいらっしゃらないように思います。

 試算表を作成しない理由は恐らく「必要ない」からでしょう。余程大きな規模でない限り、試算表を作成しなくても経営はできます。儲かっているかどうかは、感覚とオリジナルの集計表で何とかなります。また、もっと直接的な理由として、「領収証等の証憑書類を揃えるのが面倒くさい。」「会計ソフトの入力が面倒くさい。」「税理士事務所に作成を依頼しているが税理士事務所も忙しい。」といったことが挙げられます。

 しかし、ご本人にとってはあまり必要のない試算表であっても、銀行などの第三者にとっては大変重要です。試算表は、経営者の頭の中をのぞくことができない第三者が、貴社の経営状態を 容易に知ることができる唯一の手段です。自社の経営状態を第三者に伝えるための大変有益なツールとなります。

 また、試算表からは、今年度の利益状況だけでなく、創業時から積み重ねてきた資産、負債、資本の状況が分かります。そし て、これらの状況を分析することで、利益状況よりもはるかに重要な経営の課題を知ることができます。

 試算表は、作成するメリットよりも、作成しないデメリットの方が大きいと思います。ビジネスチャンスに遭遇した時、不測の事態が起こった時、急きょ資金が必要になります。頻繁に起きる事ではありませんが、いざ起きたときには大変重要な問題です。早く資金が欲しいという状況にあって、約7割の企業様 は、試算表を作成するところから始めなくてはなりません。過去の分をまとめて作りますので、最低でも1か月、長い場合は 数カ月かかることもあります。機会の損失です。 まずは、今現在自身が必要としなくても、いざという時に必要であるという認識を持って、平素から試算表を作成する体制を構築してはいかがでしょうか。次に、自身が財務の知識を深めるか、財務の知識を持った人間を横に置いて、試算表を経営に活かしてはいかがでしょうか。

経営判断のための指針6カ条! H28.8.8

◆経営コラム 『経営判断のための指針6カ条!』
○「アッパーニッチ」な領域を「地上戦」で狙う。
○「ワンマン経営」で「尖った経営(=エコ贔屓な経営)」を行う。
○「程度加減の判断」を重んじて、「ベター」で良しとする経営を行う。

 経営に正解などありません。それでも、偉人たちが共通して提唱しておられる概ね共通のルールはあります。以下、ご確認ください。

◆1:常に『アッパーニッチ』(×ロアマス)を目指します。
  …商品やサービス、市場の開拓時には『アッパーニッチ』を狙います。絶対に『ロアマ
  ス』は狙いません。『アッパーニッチ』とは、高級、高付加価値ゾーンの隙間のことで
  す。『ロアマス』とは、低価格帯のBIGマーケットのことです。経営資源の乏しい中小
  規模企業は、常に局地戦に臨むべきです。絶対に広域で戦うべきではありません。また、
  低価格帯のビジネスは、そのスケールメリットや経営管理の優れた大企業向けです。

◆2:まず『地上戦の営業』(×空中戦の営業)を企てます。
  …新しい物やサービスを世に問う時には、まずは自分の足で、自分の人脈の範囲内から攻
  め込みます。空中線は、地上戦での検証を終え、地上戦営業で加速を付けた後に行いま
  す。 『地上戦の営業』とは、自分の人脈の範囲内での営業活動のことです。『空中戦の営
  業』とは、マス媒体を活用する営業のことです。

◆3:『エコ贔屓な経営』(×総花的な経営)を行います。
  …経営資源は、強いもの、伸びている所に集中して投下すべきです。総花的に分散しては
  いけません。人事においても、伸びている人をさら伸ばす…まずはこれです。『エコ贔屓
  の経営』とは、長所に集中する経営のことです。『総花的な経営』とは、分散する経営の
  ことです。経営資源の乏しい中小規模企業は、バランスよりも尖ることに重点を置くべき
  です。

○上記(◆1~◆3)は、大きく広く総花的に攻める、この考え方を戒める指針です。一方、
狭く深く尖った経営を狙う、これは、異論をはさめないぐらい確立された経営指針であるはず です。しかしながら、今も多くの経営者が、大きく広く総花的に攻めようとしています。軌道の修正が必要です。

◆4:『ワンマンな経営』(×協議の経営)を行います。
  …衆智を集めることは重要です。しかし、結論を協議して出す …これは正しくありませ
  ん。社長一人が全責任を負って決めます。『ワンマンな経営』とは、経営判断は社長が一
  人で決める、この自覚を持つ経営のことです。『協議の経営』とは、協議して経営判断を
  下すことを意味します。企業経営において、総意が正しいケースは稀です。特に厳しい方
  向への判断は社長にしかできません。

○社内の総意、これほどいいかげんなことはありません。社内の総意に判断をゆだねるお人好し社長がうまく行くケースは稀有です。

◆5:『程度加減の判断』(×YESかNOの判断)を意識しながら経営します。
  …経営判断の多くは、YESかNOではなく、もっと早く、もっとたくさん、いや、セー
  ブして…このように程度加減を決めることが多いものです。経営とは程度加減を計ってい
  る…この認識が重要です。『程度加減の判断』とは、その程度加減を決めることです。
  『YESかNOの判断』とは、その判断の可否を決めることです。方向性の判断よりも、
  程度加減の判断の方が難解です。常に程度加減を計りながら進めてください。

○程度加減の判断も、極めて重要な経営判断の範疇です。アクセルとブレーキは、トップが直接踏むべきです。

◆6:『ベターな経営』(×ベストの経営)を目指します。
  …経営の場で、ベストな状況に遭遇する機会は稀です。ベストに こだわり過ぎると前に進
  めません。経営はベターの集合体であ る…この達観が必要です。『ベターな経営』とは、
  ベターを良しとする経営のことです。 『ベストな経営』とは、あくまでもベストありきで
  進める経営のことです。また、ベストな環境を待ちすぎて、結果、手遅れになるケースも
  少なくありません。

○「ベターな環境下で、ベターをベストに近づける行為」これが経営ではないでしょうか。 ベストな状況・環境…これらはないものねだりです。 以上ご確認ください。

経営者の役割は資金を適切に分配することです H28.8.4

◆財務コラム 『経営者の役割は資金を適切に分配することです』
 …分配の原資となる資金の獲得に積極的に取り組みましょう。

  銀行融資プランナー協会は、不測の事態に備えてキャッシュポジションを高く取る財務戦略を提唱していますが、これは倒産を予防するという第1ステージの目標です。第1ステージの目標をクリア出来たら、次は事業を成長させることを考えなくてはなりません。第2ステージです。

 最近驚いた話ですが、「公庫さんから資本性ローンを調達したものの、1年近く手をつけずにそのまま置いている。」という経営者様に2回も遭遇しました。どちらの経営者様も、「手元 キャッシュを減らすのが不安だという理由もあるが、そもそも使うあてがない。」といった主旨のお話をされていました。創業してまだ1、2年の企業様で、年商規模も数千万円ですが、小さいながらも資金繰りが黒字化したことが要因だと考えられます。

 「キャッシュポジションを高く取って不測の事態に備える。」という守りの姿勢は重要ですが、キャッシュを後生大事に抱えていても、わずかな金利が得られるだけです。事業の成長を促すためには、「一定のリスクを冒してでも、新たな資金需要を自ら生み出す。」という攻めの姿勢が必要です。 もちろん、新たな資金需要を自ら生み出すのは簡単ではありません。ただ、「新たな商品やサービスを開発する。」といった大掛かりなことだけが新しい資金需要の創出ではなく、現在の 状態を進化発展させるために、小さな投資を積極的に行うことも立派な資金需要の創出です。 例えば、現在は黒字なので現状維持でも問題はないが・・・

・もっと大きな利益を狙って営業人員を強化しよう。
・作業効率を上げるためにIT投資をしよう。
・生産性を上げるために大手企業から工場長を招聘しよう。
・事業シナジーを狙ってM&Aをしかけよう。etc

 成長を促すために、自ら資金需要を創出すべきことはたくさんあります。むしろ、たくさん有り過ぎる一方で、資金は有限ですので、優先順位の決定に悩み続けるぐらいです。 経営者様の役割は、有限である資金を、どこに分配すれば最も 効率よく事業が成長するかを見極めることです。よって、一定の安全性を確保した後は、分配の原資となる成長資金の獲得に積極的に取り組みましょう。

資金調達は貸し手の論理が優先します H28.8.1

◆経営コラム 『資金調達は貸し手の論理が優先します。』
 …〔×〕「お金は、お金が必要な時に借りる。」 (借り手の論理・雨傘理論)
 …〔○〕「お金は、返済できそうな会社に貸す。」(貸し手の論理・日傘理論)

■金融機関は「お金の必要な会社・個人事業者様」に融資します。ただし、もう一つ条件があります。融資ができる対象は、「返してくれそうな状況の会社」です。二つ目の条件を知らない社長様が少なくありません。

◆「お金は、お金が必要な時に借りる。」(借り手の論理・雨傘理論)とするお金に関する間
 違え常識がはびこっています。これは間違えです。

○お金が必要なら借りる、今必要ないなら借りない
 …一見常識的に見えるこの考え方は、借り手の論理です。だから、「雨が降ってきたから傘
 を貸してくれ」とする雨傘理論が生まれます。金融機関に雨傘は一本もありません。(※救
 済的な制度融資・制度保証だけが雨傘です。)
○お金が必要な時にのみ金融機関に駆け込む(スポット対応)ことになります。
○「金融機関が追加融資を受けませんか?」と言ってきてもむげに断ります。
○「とりあえず自己資金ではじめて、必要になったら借ります。」と資産背景の無い創業者様
 も平気で言い放ちます。すべて借り手の論理・雨傘理論です。間違えています。故に、お金
 に苦労します。下手をすると破たんします。これを財務無策・財務無知と呼んでいます。

◆「お金は、返済できそうな会社に貸す。」(貸し手の論理・ 日傘理論)が正解です。

○お金は返済できそうな会社に貸します。
○貸した後もしっかり対応してくれる会社こそ優です。
○「提案した追加融資は素直に受けて欲しい。今は貸せるタイミングだ。」と思っています。○「業績が悪い時にお金は貸せない。」 貸し手の論理・日傘理論です。 

 どっちが正しいのか?これを議論することに意味はありません。 相対的に力の弱い小規模零細・個人事業者・創業者様は、貸し手の論理・日傘理論に従うしかありません。

■当事務所(銀行融資プランナー協会)が提唱する、小規模零細・個人事業者・創業者様向けの財務指針は、以下のとおりです。

1.金融機関借入は、借りられる時に借りられるだけ借りる。
2.借り入れを最大限活用して、手元資金を出来る限り潤沢にして維持する。
3.金融機関とは継続的・戦略的な関係を継続する。金融機関からは、借入れと返済、借り換
 えを繰り返しながら、手持ち資金の最大化を図る。

◆上記の1~3の実現には、継続的な財務活動が必要です。
○資金は、借入れた時から返済が始まる。借入れ・現金共に徐々に減少する。
○通常の運転資金は借りられるタイミングを計って借入れ・借換えを行う。
○投資や増加運転資金はタイミングを計って借入れを行う。
○状況によっては、いち早くリスケを実行して資金の流失を減らす。
○金融機関への状況報告を積極的に継続して行う。

これらは、小規模零細・個人事業者・創業者様が本来継続して 行うべき財務活動ですが、このような継続的な財務活動を行っ ている会社・個人様は稀有です。財務無策状態が続いています。 大変危険です。

■銀行融資プランナー協会の『新・税理士』は、小規模零細・ 個人事業者・創業者様に必要な財務活動を業務としてお引き受けします。 税務顧問業務で整理した数値をそのまま活用して、毎月一定時間を費やして、上記の活動を継続的に行うことで、クライアントの財務無策・財務無知に起因する経営破たんを防ぐことがで きます。 今日も、多くの小規模零細・個人事業者・創業者様が、財務無策で苦しんでおられます。財務無策への事前対応を『新・税理士』にお任せください。

融資を最大限活用するための事業の進め方 H28.7.28

◆財務コラム 『融資を最大限活用するための事業の進め方』
 …一度に大きな実績を狙うより小さな実績を積み上げましょう。

 「銀行から赤字を理由に融資を断られた。黒字になったら検討するというが、こっちは赤字
 だからお金を借りに行っている。そもそも黒字になったらお金を借りる必要などないではな
 いか?なんて頭の悪い銀行員だ・・・」と憤っておられる経営者様がおられました。

  確かにおっしゃる通りです。黒字化するまで資金が不足するから頼んでいるのであって、
 黒字化した時には資金は必要なくなります。銀行が「雨の日に傘を取り上げ、晴れたときに
 傘を差し出す。」と皮肉られるのも頷けます。銀行の思考回路は一体どのようになっている
 のでしょうか?

  銀行と話が噛み合わない理由は単純です。銀行は、そもそも赤字の企業に対して融資をす
 る思考を持ち合わせていません。赤字企業を黒字化させるのではなく、黒字企業をもっと黒
 字化させることを第一の使命と考えています。もちろんイレギュラーもたくさんあります
 が、経営者としてはこの考え方に立つ方が良いと思います。

  銀行の考え方を理解すれば、事業の進め方も変わるはずです。いきなり大きな利益を狙い
 に行くのではなく、小さな利益実績を積み上げながら進める方が調達は容易になります。

  例えば、「10名の営業マンを雇って、毎月500万円の固定費を使いながら、12か月後に黒
 字化を達成する。」という計画で経営を行うよりも、まずは、「2名の営業マンからスター
 トして3か月で黒字化を達成する。」という計画で進めた方が、資金調達の可能性は高まり
 ます。6カ月経過時点で、前者は大赤字の真っただ中にありますが、後者は小さいながらも
 2名で上げた利益の実績がありますので、そこに資金を提供して人員を増やせば利益も数倍
 に・・・という想像が容易になります。

  広告費用なども同じです。実績がない状態で「1,000万円の広告費用を貸して欲しい。」
 と頼むより、たとえ小さな額でも、広告の効果が実績として分かっている方が、融資はしや
 すくなります。 融資を活用して事業の拡大を目指すならば、「小さな黒字を大きく育て
 る。」という銀行の考え方に合わせて、事業計画を進めることをおすすめします。

粉飾決算をしている経営者様へ H28.7.21

◆財務コラム 『粉飾決算をしている経営者様へ』
 …粉飾のサイクルから出来るだけ早く抜け出す方法を模索しましょう。

 長く経営を続けていると綺麗ごとでは片づけられない問題に直面することもあるでしょう。やむを得ず、粉飾をしてしまった経営者様もいらっしゃるかと思います。一方で、金融機関にとっても、粉飾決算に騙されることは死活問題ですので、大いに神経をとがらせています。金融機関は、粉飾決算に騙されないよう以下のポイントを見ています。

1.売上高の前倒し計上、架空計上を行っているケース
  売上高を増やすことで利益を増やす手法ですが、複式簿記では 「売上高」だけを増やすこ
 とは出来ません。相手勘定となる「売掛金」の残高を検証することで粉飾を見破っていま
 す。具体的には「売上債権回転期間」で売上高とのバランスを見ています。

2.仕入債務を過小に計上しているケース
  買掛に計上している仕入を消すことで利益を増やす手法です。しかし、この手法も「買入
 債務回転期間」が極端に短くなるため粉飾が疑われます。

3.在庫を過大に計上しているケース
  架空在庫を計上して利益を増やす手法です。最も多く見られる粉飾の手法ですが、「棚卸
 資産回転期間」が極端に長くなるため粉飾が疑われます。

4.費用を過小に計上しているケース
  実際にかかった経費を消して利益を増やす手法です。相手勘定の「現金」が異常に膨らみ
 ますので粉飾が疑われます。実際にキャッシュを投入して、掛勘定を使用せずに利益操作を
 されると、粉飾決算を見破るのは難しくなりますが、勘定科目だけを操作して行う粉飾決算
 は、簡単に見破ることができま す。

 金融機関は気づいていても、「粉飾ですね。」等とは絶対に言いません。許容できる間は騙されたふりをして融資を続けていても、看過できないところに達したら融資は止まります。 しかし、それ以上に粉飾が怖いのは、赤字に対する経営者様の問題意識が薄れてしまう点です。実際は赤字であっても、粉飾決算で資金が調達できれば、何となく経営が上手く行っている錯覚に陥ります。よって、一度粉飾をしてしまった企業は、翌年以降もずるずると粉飾を繰り返してしまい、その額が少しずつ膨らむ傾向があります。粉飾額が大きくなる前に、粉飾のサ イクルから脱却する決断が求められます。まずは粉飾で分からなくなった本当の利益を洗い出すところからスタートします。粉飾からの脱却をお考えの経営者様は、是非、ご相談ください。

創業事業計画によくある10の間違え! H28.7.18

◆経営コラム『創業事業計画によくある10の間違え!』
 …始める前に、間違えを直しておきましょう。

 その事業が将来立ち上がるかどうか?こんなことは誰にもわかりません。それでも論理と蓋然性から、高い確率で重要な問題点を指摘して助言することは出来ます。(※この確率にあてはまらない天才事業家は除外する前提でお読みください。)

■「創業事業計画によくある10の間違え!」(実例です。)
 以下のような創業計画書は少なくありません。
 ◆1:創業1期目が赤字、2期目に追加の資金調達(融資)を目論む計画
    創業1期目が赤字の時、2期目の資金調達は容易ではありません。創業時の自己資金
   と創業融資で、黒字化まで自力で持っていかないと、次の融資はほぼ受けられません。
   計画の見直しが必要です。

 ◆2:創業自己資金300万円で初年度の資金調達金額3,000万円とする計画
    計画自体が無謀に見えます。創業時に、こんな多額な融資はほぼ受けられません。計
   画の見直しが必要です。

 ◆3:創業自己資金50万円の会社が、創業1期と2期で累計6,000万円の赤字を出す計画
    どんなに経歴や計画書が立派であっても、この計画を支持する金融機関はありませ
   ん。そもそも力不相応な計画に見えます。 計画の見直しが必要です。

 ◆4:創業三ヵ年計画の資金繰りの辻褄が合っていない計画
    資金繰り計画書を作ったら資金ショートします。資金繰り計画を持ち合わせていない
   ので、矛盾に気づいていません。計画の見直しが必要です。

 ◆5:創業三ヵ年計画に、創業融資の返済原資を見出せない計画
    返済を賄う利益を計画段階から計上できていません。返済原資 の無い融資を金融機関
   は行いません。計画の見直しが必要です。

 ◆6:創業自己資金300万円、資金的にはぎりぎりの計画ですが、創業融資をとりあえず受
   けない計画
    「とりあえず自己資金でやってみて、必要になれば融資を受けたい。」この考え方は
    根本から間違えています。行き詰まった時に融資を受けられる可能性は高くありませ
    ん。最初に創業融資を受けるべきです。

 ◆7:創業自己資金50万円の会社が急成長して、3期目の期末に従業員が250名になる計画     力不相応な計画に見えます。250名を雇用する…これを実現するコストだけで、期間
   中に数千万円程度必要です。

 ◆8:売上・利益計画の割に、経費が少なすぎる計画
    販促費や経費を過少に見積もっているケースも少なくありません。甘すぎる計画に見
   えます。上手く行きすぎる計画に蓋然性は見出せません。

 ◆9:既存のサービスの単なる安売りで売上が取れるとする計画
    安くして、差別化して、かつ、利益を出して…実現できる蓋然性がありません。

 ◆10:既存のサービスを多数組み合わせ総合化することで差別化しようとする計画
     ワンストップにして差別化する…実現できる蓋然性がありませ ん。

■上記の事象は、計画書を少し見ればわかります。
◆1~6は、財務的な整合性を欠いています。明らかな財務無策で、計画の見直しが必要です。◆7は、雇用にかかる手間暇・コスト、さらには、マネージメ ント体制を作りあげる大変さをよく理解できていないことが原因でしょう。◆8の経費の過少計上もよく見かけます。最初からミスなく上手にコストを掛けられることが前提です。試行錯誤の費用が見込まれていません。◆9の安売りモデル、10の総合化モデルもよく見かけます。 安くしても利益を出せる、総合的に組み合わせても、一つ一つが弱くならない理由が不明瞭です。既存の企業は、安くすると利益が出ないから、組み合わせると一つ一つが弱くなるから、 これができないのであって、このできない理由を解決せずに、 安く・総合的に…とする発想は根本から間違えています。ビジ ネスモデルの練り直しが必要です。

銀行員がトイレの汚い会社に融資をしないのは本当か H28.7.14

◆財務コラム 『銀行員がトイレの汚い会社に融資をしないのは本当か』
 …スコアリング審査型融資のチェック項目が参考になります。

 銀行の融資審査にまつわる噂話ですが、「トイレが汚い会社に 融資はしない。」とか、「社内でスリッパを履いている社長に 融資はしない。」等、もっともらしい話から、良く意味の分からない話まで、たくさんの噂話を耳にします。実際のところはどうなのでしょうか。もちろん銀行員は、財務面以外の部分も観察していますが、「○○だから貸さない。」といったことは当然ありません。しかし、金融機関の中には、スコアリングで融資を決定する商品を有しているところがあり、そのチェック項目の中には、財務面以外の評価が多く含まれている場合があります。良くあるチェック項目を次に挙げますので、貴社に当てはめて評価が得られそうかどうか確認してみてください。

【代表者に関するチェック項目】
 ・業界経験年数は何年か
 ・代表者が資産を有しているか
 ・代表者が会計を理解しているか
 ・代表者が高齢でないか
 ・代表者の健康状態はどうか
 ・不必要な付き合い(接待)が多くないか
 ・ライオンズ、ロータリー、日本青年会議所の会員か
 ・後継者はいるかetc

【従業員に関するチェック項目】
 ・従業員の採用に積極的か
 ・従業員の離職が多くないか
 ・従業員に活気があるか
 ・従業員の教育が行き届いているか
 ・右腕となる人物がいるか
 ・有能な幹部が最近辞めていないかetc

【会社に関するチェック項目】
 ・法令違反(行政処分等)がないか
 ・整理整頓が行き届いているか
 ・ホームページが定期的に更新されているか
 ・地域の振興活動に積極的か
 ・融資申し込みの経緯に不審な点はないかetc

 実際は、「自己資本比率が○%以上・・・」等、財務面のチェック項目とあわせて30から50程度の項目が用意されており、 総合点で融資が決まります。いずれも当たり前の内容ではありますが、自社の経営状態を改善するチェックリストにもなりそうです。参考にしてはいかがでしょうか。

貴社の試算表はどのようなポリシーで作成されていますか H28.7.7

■財務コラム 『貴社の試算表はどのようなポリシーで作成されていますか。』
 …税務の目線、財務の目線、経営の目線、どれでしょうか。

 先日資金調達相談で来所されたお客様の事例です。会社を設立 して10か月が経過した企業様ですが、試算表を見せていただ いたところ、資本金300万円がバランスシートから抜けています。他にもおかしな点がいくつかあり、明らかに不完全な試算表でした。 話をお聞きすると、創業当時からお世話になっている顧問税理 士の先生に会計資料をお渡しして、試算表の作成をお願いしているようです。このような試算表が出てきた原因がどこにあるのか分かりませんが、融資申し込み資料として、このような試算表を提出するのは本当に危険です。なぜ、このような事が起きてしまうのでしょうか。

◆ 決算書を作成する主な目的は次の3つです。
 ・税務の目線:税金の計算をするため
 ・財務の目線:銀行や株主など第三者に経営状況を伝えるため
 ・経営の目線:自身が経営状況を知るため

◆ 試算表を作成する主な目的は次の3つです。
 ・税務の目線:決算作業をスムーズに行うため
 ・財務の目線:銀行や株主など第三者に経営状況を伝えるため
 ・経営の目線:自身が経営状況を知るため

 財務や経営の目線で考えると、試算表は毎月の正しい利益が分かるものでなければ意味がありません。しかし、税務の目線で考えると税金は決算日の利益が分かれば計算できますので、 必ずしも毎月の利益を知ることが重要ではありません。貴社が税理士事務所に依頼している業務の内容が、「決算書の作成と申告業務」だけなら、試算表が毎月作成されないのは当然です し、仮に作成されたとして、それが財務目線では不完全なものであっても文句は言えません。

 貴社が依頼しているのは、年に1回の税金の計算であって、毎月の正しい利益を計算することではないからです。「銀行からお金を借りるつもりは全くない。」「小規模の売上なので損益状況は頭の中で把握できている。」という経営者様にとっては、財務や経営目線の試算表はあまり必要ではないかもしれません。年に1度、税務目線の決算書を作成するだけで十分です。しかし、「金融機関の協力を得て会社を成長させたい。」とお考えの経営者様は、財務目線の試算表が絶対に必要です。不完全な試算表を提出して融資を断られる前に、貴社の試算表がどの目線で作成されているのか、今一度お確かめください。

儲かる会社と儲からない会社の差は H28.7.4

◆経営コラム 『儲かる会社と儲からない会社の差は…』
 …ビジネスモデルの優劣と経営管理の上手下手です。

■儲かる、儲からない、様々なケースは…
○儲からない会社、そのケース1は…
 売上が足りない会社です。月商が10万円で利益の出る会社はありません。例え粗利益率  が100%であっても、10万円の売上では、固定費を絶対に賄えないからです。(副業のこづかいなら別ですが…)このような会社はとにかく売上を上げるしか他に方法はありません。

○儲からない会社、そのケース2は…
 粗利率の低い会社です。売上至上主義の社長様に多いケースですが、売上のみを追いかけると、売上を作るために粗利益率を過度に落としたり、販促費や人件費などの販管費を過度に投入したりすると、売上の増加に伴う粗利益額の増加よりも、販管費の増加の方が多くなってしまいます。このような会社は毎月必ず必要な経費である固定費を賄うための売上高(いわゆる損益分岐点売上高)を予め認識しておき、その中でこの売価設定ならばどれだけ売れば利益が残るということを頭の中でイメージできるようにならなければなりません。

○儲かる会社、そのケース1は…
 売上が伸びて、売上と粗利益率の積である粗利益額が膨らみ、なおかつ、その増加額が販管費の増加額を上回る会社が儲かる会社です。

○儲かる会社、そのケース2は…
 上記の粗利益の増加額の割合が、販管費の増加額の割合に比べて、圧倒的に大きな会社は高収益企業、たくさん儲かる会社、そのケース2になります。

■ビジネスモデルの優劣と経営管理の上手下手の問題に帰結し ます。
◆ビジネスモデルの優劣の差は…
○売上が伸びても、原価や販管費がそれほど増えない会社は高収益企業になります。
 ・売上が伸びた時、原価が比率として下がる、スケールメリットを享受できるビジネス
 ・売上が伸びた時、追加の原価をあまり必要としないコンテンツビジネス
 ・売上が伸びた時、販管費があまり増えない非労働集約型ビジネス
 ・原価や販管費の伸びに比して、単価が高いビジネス

○一方、売上が伸びる時、原価や販管費が売上の伸びに追従して膨らむビジネスは高収益企業には成り得ません。

◆経営管理の上手下手は…
○売上高・粗利益・販管費、この三つのバランスを計り、タイミングよく三つの関係を見直すための経営管理を確実に行えている会社は利益を出せます。

○上記の管理をしっかりできていない会社は、上手くいきません。儲かりません。

■儲かる会社にするためには…
1.売上が伸びても、原価や販管費がそれほど伸びないビジネスモデルにする。
2.売上高・粗利益・販管費、この三つのバランスを計り、タイミングよく三つの関係を見直
 すための経営管理を確実に実行する。 仮に同じ戦力で事業を行っても、その「ビジネスモデ
 ルや事業立地」(どのようなビジネスを、どのように行うか?)によって結果は大きく変わ
 ります。雲泥の差です。 社長は常に自社の「ビジネスモデルや事業立地」を磨き込むことに
 最善を尽くさねばなりません。 また、「進め方の程度加減」を計らねばなりません。これが
 経営管理です。 正しい目標「ビジネスモデルや事業立地」に向かって、「進め方の程度加
 減」を計りながら経営を進めていく指揮官が社長です。 『言うは易く行うは難し』ですが、
 経営学の基本中の基本です。 この機会にご一考ください。

銀行が見ている財務状況以外の評価ポイント H28.6.30

◆財務コラム 『銀行が見ている財務状況以外の評価ポイント』
 …金融庁マニュアル別冊(中小企業融資編)を解説します。

 金融機関は、財務状況(決算内容)の評価に最も重きを置いて います。しかし、殆どの中小規模の企業は、財務状況に何らかの問題を抱えていますので、結局、財務状況以外の評価も重要になります。

◆金融庁が金融庁マニュアル別冊で明示している評価ポイントをご紹介します。

■技術力と販売力
 ・特許権、実用新案権等の知的財産権を背景とした新規受注契約の状況や見込み
 ・新商品、サービスの開発や販売の状況を踏まえた今後の事業計画書等
 ・取扱商品、サービスの業界内での評判を示すマスコミ記事等
 ・今後の市場規模や業界内シェアの拡大動向等
 ・販売先や仕入先の状況や評価、同業者との比較に基づく販売条件や仕入条件の優位性
 ・企業の技術力、販売力に関する中小企業診断士等の評価

 技術力や販売力は数値化しにくいため、知的財産権、マスコミ、中小企業診断士等、第三者を通じた客観的な評価が求められています。また、データによる裏付けや、綿密な計画なども有効です。

■経営者と経営努力
 ・過去の返済状況等の取引実績
 ・経営者の経営改善に対する取組み姿勢
 ・財務諸表などの質の向上への取組み状況
 ・ISO等の資格取得状況
 ・人材育成への取組み姿勢
 ・後継者の存在
 ・経営者の資質に関する中小企業診断士等の評価

 経営者と経営努力については、取り組み姿勢が大きな評価ポイントになっています。取り組み姿勢を明確にすることで、今現在は財務状況に表れていなくても、将来的には改善されるだろうという期待値で評価してもらえます。いずれの場合も、口頭で担当者に伝えるだけでは不十分です。決裁者にしっかり伝わるよう、必ず書面にまとめて提出することが大切です。このような金融機関向け資料の作成にお困りであれば、弊所の財務部長代行サービスをご活用ください。

会社(経営)の健康診断を行ってください H28.6.27

◆経営コラム 『「会社(経営)の健康診断」を行ってください。』(下)
 …企業が患う4大疾病は!対策は! 

◆病名3:前のめり症候群
 ○会社の実力以上に事業を攻めすぎる、組織を大きくし過ぎる病です。

 ○原因:経営には山と谷があることを知らないことが原因です。上手く行かないことを想定
 しない経営者は攻め続けてしまいます。経営は山で伸ばして谷で固める、山の次に必ずやっ
 てくる谷を想定しましょう。谷を想定しないからこの病にかかるのでしょう。

 ○症状:持ち合わせた経営資源のすべてを出し切って、ぎりぎりの経営を行っています。ひ
 とつ判断が狂うと、一挙に経営の根幹が揺らぎかねない状況に陥ります。企業経営において
 はどうしても このステージを避けられないこともありますが、可能な限り回避すべきです。
 それを恒常的に続けていると、会社も社長も疲れ果ててしまいます。極めて危険な状況で
 す。早期の治療が必要です。

 ○対策:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を維持してください。
  ・事業を攻め過ぎないでください。
  ・ビジネスモデルを早期に固め過ぎないでください。
  ・経営の推移を小まめに把握してください。経営者は事業を前に攻め過ぎる傾向にありま
  す。出来る社長ほど顕著です。行き過ぎるデメリットは、遅れるデメリットよりもはるか
  に大きくなります。少し遅れながら攻めてください。ビジネスモデルも柔軟に変化させて
  ください。そして、経営状況を常に把握してください。

◆病名4;お人好し症候群
 ○判断が総じて甘く・ゆるくなっています。

 ○原因:胆力の欠落と人の好さが原因です。胆力は長期間、長時間は継続できません。ま
 た、人の好さが災いして、嫌なことを先送りしがちです。胆力の維持できる範囲内で判断す
 る、嫌なこと、厳しいことを臆さずはっきり口に出す。これを意識しないと、甘い・ゆるい
 経営になってしまいます。

 ○症状:一歩間違えると仲良し倶楽部になってしまいます。企業経営は ぴりぴりと張り詰め
 る緊張感の中で行うものです。一つ一つの判断が生死を分け、どちらかと言うと楽しいこと
 より嫌なこと、 厳しいことが多いはずです。だから、気を休める時間が必要であり、余暇を
 求めるのです。これが逆転している状態が常態化している企業は危険です。

 ○対策:経営判断を明確に(Clearly)にしてください。
  ・経営判断に『甘さ』『ゆるさ』を持ち込まないでください。
  ・NOといえる経営者になってください。
  ・数値(目標、結果)管理を最小単位で徹底してください。人の好さは、会社に『甘さ』
  『ゆるさ』を蔓延させ、会社を破滅に導きます。心に一匹の鬼を持って経営判断を行って
  ください。嫌なことに対してもはっきりNOと言える経営者であってください。また、数
  値管理を最小単位まで落とし込んでくださ い。

■4大疾病を患わないため、治癒するために、単純で高収益を目指す経営【SP経営】をお勧めします。

【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】

■第1条:すべてを単純(Simple)にしてください。
 第1項:減らしてください。絞り込んでください。
 第2項:自社の強み(ツキ)を探して特化してください。
     …経営者は事業の幅を広げ過ぎる傾向にあります。絞ることが重要です。また、会社
    の仕組みは自然と複雑になりがちです。単純(Simple)化が必要です。

■第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指してください。
 第1項:付加価値の向上を目指してください。
 第2項:利益管理を徹底してください。
 第3項:コストを抑えてください。
 第4項:値決めを再考ください。
    …事業は付加価値を求め続けることでのみ継続できます。値決めは重要な経営判断で
    す。安売りは悪です。利益を計り、利益を求めてください。また、コストは自然に膨
    らみます。意識して抑え込んでください。高収益(Profitable)な企業体作りを強く意
    識してください。

■第3条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を維持してください。
 第1項:事業を攻め過ぎないでください。
 第2項:ビジネスモデルを早期に固め過ぎないでください。
 第3項:経営の推移を小まめに把握してください。
    …経営者は事業を前に攻め過ぎる傾向にあります。行き過ぎるデメリットは、遅れる
    デメリットよりもはるかに大きくなります。少し遅れながら攻めてください。ビジネ
    スモデルも柔軟に変化させてください。そして、経営状況を常に把握してください。

■第4条:経営判断を明確に(Clearly)にしてください。
 第1項:経営判断に『甘さ』『ゆるさ』を持ち込まないでください。
 第2項:NOと言える経営者になってください。
 第3項:数値(目標、結果)管理を最小単位で行ってください。
    …人の好さは会社に『甘さ』『ゆるさ』を蔓延させ、会社を破滅に導きます。心に一
    匹の鬼を持って経営判断を行ってください。嫌なことに対してもはっきりNOと言え
    る経営者であってください。また、数値管理を最小単位まで落とし込んでください。

資本性ローンを活用した経営改善について H28.6.23

◆財務コラム 『資本性ローンを活用した経営改善について』
 …銀行借入れの呼び水として資本性ローンを活用しましょう。

 日本政策金融公庫が資本性ローンの取り扱いを開始してから久しくなります。「既に利用している。」「商品名は知っている。」といった経営者様も多いと思いますが、「資本性ローンを知らない。」「上手な活用方法を知りたい。」といった経営者様もまだまだいらっしゃるようです。資本性ローンの特徴は以下となります。

◆特徴その1
 ・返済方法は、5年超15年以内の期日一括返済です。 約定返済のない長期借入ですので、
 当初は赤字が見込まれる新規事業での利用や、経営改善の途上にあり、約定返済額を増やし
 たくない企業の利用が最適です。

◆特徴その2
 ・無担保、無保証です。また、仮に会社が倒産した場合、当該ローンは他の債務に劣後しま
 す。他の金融機関の融資判断に悪い影響を与えない借入です。

◆特徴その3
 ・業績に応じて0%代から6%代まで金利が変動します。業績が悪ければ金利が低く、業績
 が良ければ高くなります。ある種、配当の様です。金利として考えると6%代は高いように
 思えますが、配当コストと考えると許容範囲です。

◆特徴その4
 ・金融検査上は自己資本とみなされる借入です。債務超過に陥っている企業が、債務超過額
 以上の資本性ローンを借り入れた場合、瞬時に債務超過が解消したとみなされます。経営改
 善の途上にある企業が資本性ローンを活用する最大のメリットは「特徴4」です。足元のキ
 ャッシュフローが回復しているにも関わらず、過去の赤字による債務超過がネックとなり、
 民間の金融機関から融資を受けられない状況にある場合、資本性ローンを活用して債務超過
 を解消すれば、民間の金融機関も融資をしやすくなります。是非、資本性ローンの活用につ
 いてご相談ください。

会社(経営)の健康診断を行ってください(上) H28.6.20

◆経営コラム 『「会社(経営)の健康診断」を行ってください。』(上)
  …企業が患う4大疾病は!対策は!会社(経営)の健康状態を診断してみましょう。

 人間には病気を確認する健康診断と、病気を治療する医療の仕組みがあります。一方、会社に同様の仕組みはありません。病気になっても気付かず、治療することもできません。そもそも 会社の患う病と言う概念すらありません。企業の病と治療法について検証してみましょう。

■企業の患う代表的な病は、以下の4つです。

◆病名1:分散症候群…有病率50%
◆病名2:安売り症候群…有病率50%
◆病名3:前のめり症候群…有病率30%
◆病名4:お人好し症候群…有病率60%

 以下に、会社の患う4大疾病の自己診断チェックシートを提示します。該当する項目に○を付けてください。

■会社の患う4大疾病症状診断19項目
1.社内の動きが悪いと感じる。〔  〕
2.オペレーションのミスが多いように感じる。〔  〕
3.経営コストが割高になっている。〔  〕
4.商品、サービスが総花的で特徴がない。〔  〕
5.頑張っているのに儲からない。〔  〕
6.新しい商品、サービスを創造できていない。〔  〕
7.利益は出なくて良い、と思うことがある。〔  〕
8.値上げをしたいと思っていてもできない。〔  〕
9.ぎりぎりの経営をしていると感じる。〔  〕
10.毎日が緊張の連続で疲れる。〔  〕
11.少し売上が落ちるとすぐに経営が厳しくなる。〔  〕
12.資金繰りに追われている。〔  〕
13.攻めすぎているかも、と感じることがある。〔  〕
14.攻めすぎたと反省している。〔  〕
15.自分はお人好しだと思う。〔  〕
16.自分は従業員に甘いと思う。〔  〕
17.自分の判断は、どちらかと言うと甘いと思う。〔  〕
18.自分の判断は、どちらかと言うと曖昧だと思う。〔  〕
19.自分はNOと言いにくい性格だ。〔  〕

◆病名1:分散症候群(診断項目1.~4.に該当)
 ○商品やサービスの幅を広げ過ぎて、マーケティングが曖昧になる病です。『誰に』『何
 を』売るかがぼやけてしまっています。

 ○原因:商品の品揃えやサービスの幅を持たないと売れないとの思い込みが原因です。企業
 は何もないところから始まります。このステージでは品揃えや幅の強化が必要です。しか
 し、一定のレベルを越えたあたりから、商品の品揃え、サービスの幅、事業領域を絞りなが
 ら成長を遂げるべきです。拡大は面を広げることではなく、面を狭めて深堀することです。
 このあたりが誤解されています。だからこの病気が蔓延するのでしょう。

 ○症状:経営資源が分散され、社内のありとあらゆるものが複雑になるため、動きが悪くな
 ります。対応が遅くなり、ミスが多発し、全体にコスト高になります。各商品やサービスの
 磨きこみも十分でなく、総花的な品揃え、サービスを提供しており、これと言った強みもあ
 りません。

 ○対策:すべてを単純(Simple)にしてください。
  ・減らしてください。絞り込んでください。
  ・自社の強み(ツキ)を探して特化してください。 経営者は事業の幅を広げ過ぎる傾向に
  あります。絞ることが重要です。また、会社の仕組みは自然と複雑になりがちです。単純
 (Simple)化が必要です。

◆病名2:安売り症候群(診断項目5.~8.に該当)
 ○値決めに対する姿勢が弱気で、利益管理も曖昧になる病です。

 ○原因: 安くないと売れないとの思い込みが原因です。良いものは相応の値段を、それなり
 のものはそれなりの値段を付けてください。 良いものを安く売る必要はありません。原価が
 上がれば価格を見直す、この当たり前の企業行動を取らなければ利益がどんどん減ります。
 利益が薄くなればなるほど、良いものを作ろうとする知恵や創造力を失います。最後は、薄
 利は善、利益は悪の心境に陥ります。こうなると末期です。

 ○症状: 二つのレベルに分かれます。繁盛貧乏のレベルが第一段階です。このレベルは頑張
 っているのに値決めを間違えていて儲からない状況です。この段階では価格の見直しを行え
 ば容易に治癒で きます。第一のレベルを続けていると、頑張っても儲からないと思い込み、
 頑張る意欲、より良いものを創造しようとする力を失くしてしまいます。最後には、儲から
 ない自分を正当化するために、儲けは悪、儲からないことが善、ビジネスそのものを否定す
 るようになります。

 ○対策: 高収益(Profitable)な企業作りを目指してください。
  ・付加価値の向上を目指してください。
  ・利益管理を徹底してください。
  ・コストを抑えてください。
  ・値決めを再考ください。事業は付加価値の向上を求めつづけることでのみ継続できま
  す。値決めは重要な経営判断です。安売りは悪です。利益を計り、利益を求めてくださ
  い。また、コストは自然に膨らみます。意識して抑え込んでください。高収益
 (Profitable)な企業体作りを強く意識してください。 …次回に続きます。

自社にあった金融機関を探しましょう H28.6.16

◆財務コラム 『自社にあった金融機関を探しましょう』
 …金融機関にも個性や戦略があります。

 金融機関にとって、決算後が追加融資の絶好のチャンスです。決算内容が良ければ、他行に先駆けて融資を提案しようと決算書を待っています。

 先日、ある関与先様の決算書を各金融機関に提出したところ、提出してすぐにA銀行から2,000万円の提案がありました。さらに数日後、B行から3,000万円の提案です。しかし、C銀行とD銀行からは何の提案もありませんでした。

 金融機関はどこも同じように見えますが、実はそれぞれ戦略が違います。C銀行とD銀行から提案がなかったのは、関与先様の問題ではなく、金融機関側の戦略の問題です。

 金融機関の戦略の一例をご紹介します。ある信用金庫は、返済に苦しんではいるが一定のキャッシュフローがあり、かつ不動産を持っている企業に対して、返済期間10年超の超長期貸出を戦略的に行っています。金融庁のルールに則ると「要注意先」となるため、他の金融機関が新規融資を敬遠する企業を敢えて狙っています。 競合が全くいないため、担保が充足していて、かつ返済可能なキャッシュフローのある企業に対して、この信用金庫は3~4 %台の高金利で融資をしています。まさにブルーオーシャンです。この戦略は徹底しており、他行から融資を受けられる状況にまで業績が回復したからと言って、金利を引き下げる交渉をしても、基本的には応じてくれません。金利競争をするぐらいなら 他行に行ってください、というスタンスです。そのかわり、また業績が悪化した時に備えて、1,000万円程度の取引は残しておいた方が良いのではないですか?と注文をつけてきます。もちろん金利は3~4%です。

 ある地方銀行は業界を絞っています。その業界の中心的な企業に行員を数年間出向させ、業界のことを学ばせたうえで銀行に戻し、審査部に据えるという徹底ぶりです。決算書にあらわれ ない情報を持っていますので、貸し倒れが少ないのはもちろん、決算書だけで判断している他行が融資できない先に融資をすることもできます。 他にも、保証協会との提携商品だけをひたすら提案し続けている信用組合など、良く知れば、金融機関ごとに違った個性や戦略を持っていることが分かります。貴社がどれ程立派な企業でも、全ての金融機関に好かれることはありません。各金融機関の戦略を良く理解して、自社に合った金融機関を選びましょう。

今月・来月末までに資金が必要だ。これでは「遅い」のです。H28.6.13

◆経営コラム 『今月・来月末までに資金が必要だ。これでは「遅い」のです。』
 …1カ月遅いのではなく、半年から1年以上遅いのです。

 会計は、人類が作り出した偉大な発明の一つです。会社の財産や収益の状況を、詳細にわかり易く表現してくれる英知の結集です。自社の経営の場面においては、その状況を継続的に把握することで、経営の成果の確認や、次の判断の礎になります。また、金融機関や株主などのステークホルダー(利害関係者)に対しては、経営の進捗を示す指標になります。会計とは、たいへん有益で興味深いものです。経営者は、少しずつでも、会計への理解を深める必要があります。理解した方が得です。また、会社には、会計を行う機能、財務機能が必要です。中堅規模以上の会社には必ずあって、創業から小規模企業・個人事業者様にない機能がこの財務機能です。財務機能は、会社の規模が小さいから不要、というわけではありません。この機能の欠落、財務無策は、創業から小規模企業・ 個人事業者様が破たんする主因の一つです。

 Q1:利益が出ているのに現預金がない。
    大変不思議に感じられる方も多いようですが、これはよくある事象です。

 A1:「利益は、現金以外に形を変えている。」のが原因です。
    ・今月売れた商品のお金の回収が来月である時、決算期末が今月なら、決算書には未
    回収のお金が売掛金として計上されます。今月売れて来月回収できるなら、それは今
    月の売上です。お金の回収は来月であっても、売上は今月上がります。故にお金には
    変わっていませんが、利益には加算されます。この売掛金が大きく、お金に変わる期
    間が長い時など、利益は出ているがお金はありません。

    ・来月以降売れる商品を事前にたくさん作って(または、仕入れて)持っている場合
    など、同様の結果になりがちです。

    ・資産を購入した場合なども、同様の結果になりがちです。黒字倒産は、上記に対す
    る財務無策が原因です。会計を理解しておれば、絶対に起こりえない悲劇が黒字倒産
    です。

 Q2:利益は出ていないのに、現預金は潤沢だ。

 A2:多くはありませんが、上記の逆のケースで起こります。ただし、次の売上が止まった
   瞬間に急激に資金繰りも悪化しま す。 お金があるから油断していますが、まさかが起
   きれば途端に破たんします。会計を理解しておれば、事前に打てる手もあります。

 Q3:借入れは最小限にとどめたい。

 A3:心情的にはわかりますが、正解ではありません。借入れは適正に行う、さらに、経営
   基盤が弱く、金融機関の評価が高くない時は、多めに現預金残高を確保することをお薦
   めしています。経営基盤が強くなるにつれて、徐々に多めから適正に近づけて行く方法
   が現実的です。総じて経営基盤の強くない、創業から小規模企業・個人事業者様には、
  「借りられる時に借りられるだけ借りる。」と申し上げているのはこのためです。

 Q4:今月・来月末までに資金が必要だ。

 A4:「遅い」のです。間に合わないケースも少なくありません。「遅い」とは二つの意味
    があります。

    1.手続き的に間に合わないケースが一つ目です。
      資金調達はできそうですが、時間的に厳しいケースです。

    2.手続きの時間ではなく今は調達できない、この意味で遅いケースが二つ目です。
      過去の適正なタイミングで資金調達すべきでした。または、もっと早い段階で返
     済猶予を受けるべきでした。この様なケースは少なくありません。とにかくお金に
     関する備えが遅い、備えを怠る、創業から小規模企業・個人事業者様に 多く見られ
     る財務無策の典型です。財務に対する施策は、会計を理解した上で、適時・継続的
     に行うべき事柄です。資金が必要な時に、お金に困った時に、スポ ットで行う事柄
     ではありません。創業から小規模企業・個人事業者様に対して、継続的な財務機能
     を廉価でご提供する用意があります。税務顧問業務と併せて行うことで、また、必
     要なスペックのみに限定することで、極めて廉価にご提供できます。お金に困って
     いない社長様も、お金に困りそうな予感がする社長様も、「遅い」とならない内
     に、ご相談ください。少なくない小規模企業様が、財務無策による破たんに陥って
     いる事実を重く受け止め備えてください。

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事業規模を拡大させるための資金を調達するポイント H28.6.9

◆財務コラム 『事業規模を拡大させるための資金を調達するポイント』
 …創業後3年以内に累計で1億円を調達した企業が複数あります。

  事業規模を拡大するためには、営業力に加えて資金力が必要です。しかし、金融機関は、今現在の事業規模に見合った融資を原則としていますので、将来のための成長資金を獲得するのは、少しハードルが高くなります。

 もちろん、成長資金の融資を全く行わない訳ではありません。新店舗を出したいと言えば、計画を精査して融資をしてくれますし、月商1,000万円の企業が、月商1,500万円を目指すための増加運転資金も融資してくれます。

 しかし、3店舗分をまとめて融資することはありませんし、月商1,000万 円の企業に対して、月商5,000万円を目指すための増加運転資金を融資することもありません。銀行が成長資金を少しずつ提供する理由は、スピードよりも着実に成長することを好むためです。

 しかし、経営者は、銀行の想定しているスピードよりも早く成長したいと考える方が多いため、銀行の姿勢に苛立ちを感じてしまいます。 銀行から成長資金を多めに獲得するためのポイントは、以下になります。

 1.小さくても良いので黒字の実績を作る。
 2.自社のビジネスモデルを銀行に良く理解してもらう。
 3.自社のお金の流れを銀行に良く理解してもらう。
 4.手元資金が増えれば、自社の売上、利益、資金がどのように増えるかを資金繰り表など
  で具体的に示す。
 5.目指している将来像を銀行に良く理解してもらう。
 6.上記の活動を複数行に対して行う。

 決算書と試算表を持参して普通に融資を申し込んでも、現在の 実績に応じた融資しか実施してくれません。上記のポイントに沿って説明し、成長の意志を明確にしてください。また、1行よりも複数行に説明を行うことで、健全な競争原理が働き、結果として自社の事業規模よりも、少し多めの資金を手にするこ とができます。

創業時にしっかり考えていただきたいこと H28.6.6

◆経営コラム 『創業時にしっかり考えていただきたいこと…』
 …強烈な当事者意識は社長に必要な資質の一つ目です! 

■社長に必要な資質をひとつだけあげるなら、私は当事者意識を選びます。社長には強烈な当事者意識、例え何が起きても、 それが不条理や不運であっても、その運命も含めて100%自 分の責任と瞬時に思えるそれが必要です。

◆うまく行かない時、それはすべて社長ひとりの責任です。
 ・例え約束していた取引を急に断られても…
 ・例え約束していた融資を突然反故にされても…
 ・例えたくさん売れると謳った広告の商品が全く売れなくても…
 ・例え信頼していた部下が勝手な都合で突然辞めると言ってきても…
 ・例え頭上から隕石が降ってきて当たっても…
 ・例えよくできた詐欺に引っかかっても…
  (※詐欺の場合、法的な対応を別次元で検討ください。) これが社長の立場です。

◆理由は簡単です。
 ・約束していた取引を急に断られた時は恨むより先にやるべきことを考えねばなりません。
 ・融資を突然反故にされた時は、恨むより先に資金の目途を付けねばなりません。
 ・全く売れなければ、恨むより先に次の売上を作らねばなりません。犯人探しに浪費する
 時間は無駄です。次の手を考えることが先です。この時必要なのは、誰が悪いかではなく
 、何をすべきか …です。次に再発防止を考えますが、相手が悪い、自分は悪くない、この
 前提条件から自分自身の反省、総括はできません。他人に責任を転嫁する人は、総じて間
 違えを繰り返します。

◆別の理由もあります。
 上手く行かなかった責任を、他人や他社に転嫁しようとする社長を世間は嫌います。経営の結果責任を負うのが社長の立場です。原因なんて本当はどうでもいいのです。要は、上手く行か なかった、ということです。他人や他社への責任云々の言動に賛同する人は、(少なくとも 一流人の中には)一人もいません。

■以下、アメリカの著名な牧師、ロバート・シュラー氏の言葉を著書から引用します。
 ・もしこれが駄目なら、他にどんな方法があるかを検討しよう。すべての可能性を調査しよ
 う。
 ・自分のゴールまでの道、あるいはもう一つの残された道や可能性を自分で決定しよう。
 ・自分の決断に責任をもとう。
 ・自分の運命に責任をもとう。
 ・自分はあやつり人形ではない。単なるスーパーコンピューターをはるかに越える魂をもっ
 た生き物が、己の意志で判断する、これが人間というものだ。そして、これがリーダーシッ
 プだ。自分のことは自分で考えよう。
 ・必要があれば、自分の精神構造や情緒パターンも積極的に変えていこう。
 ・リーダーシップを、他人やほかの権力に売り渡すのはやめよう。
 ・消極的な思考に負けて、自己決断の責任を放棄するのはやめよう。
 ・いちばん先頭に立とう。自分の人生のリーダーは自分なのだ。
 ・権力におびえて、逃げ出すのはやめよう。
 ・いつまでも自分の魂の航海のキャプテンでいよう。席を離れたすきに、誰かが舵を奪い取
 って、あなたの肉体や心や永遠 の魂まであやつってしまうことのないように注意しよう。  (引用終わり。)

■決断したのは社長自身です。
 ・急に断られるような取引をあてにしたのは自分です。
 ・突然反故にされるような融資に期待したのは自分です。
 ・たくさん売れるという広告を信じ契約したのは自分です。
 ・突然辞めると言い出す部下を(辞めないと)信頼したのは自分です。
 ・落ちてくる隕石の下を歩いていたのは自分です。
 ・詐欺に引っかかったのは自分です。

■強烈な当事者意識は社長に必要な資質の一つ目です。 景気のせいで…不況業種だから…△△に騙されて…上手く行か ない、このような言葉を発する社長も残念ながら少なくありません。 すべて自分の力不足です。その運命まで含めて受け入れた時に、 幸運が待ち構えている、と偉人たちはおっしゃっています。

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